ちろる

猿の惑星:新世紀(ライジング)のちろるのレビュー・感想・評価

3.8
圧倒的な存在感と強さでリーダーとして君臨するシーザーの理想と現実が浮き彫りになる本作。
「信じようとする」猿のシーザーや人間のマルコムと、「疑念を持つ」猿のコバや人間のドレイファス、そしてそれぞれの父親と息子の関係など、人間の世界と猿の世界を合わせ鏡のように見せる事で、猿<人間という時代が終わりいよいよ猿=人間という構図になった時代へ突入した瞬間を見せていく。
たしかに「信じる」ことはとても勇気いることだ。
それがもしかしたら大事な仲間の命を奪うことになりかねない覚悟だからこそ「エイプはエイプを殺さない」と誓ったシーザー最後の決断が痛く響いて切ない。
追い詰められて闘うことしか道が残されていない愚かで悲惨な精神に成り下がった人間たちを描きながらも、シーザーがマルコムに抱いた友情や、マルコムの自閉症気味の息子アレキサンダーとモーリスの交流などがしっかりと印象的に描かれていたのは少し安心した。
猿たちの特殊メイクが個性豊かで、あの猿数でしっかりと見分けがつくようになっていることに感心したのは勿論のこと、10年経ち、退廃して正気の無くなったサンフランシスコの街並みの映像のリアルさに圧倒されてそこに感動させられるほどの映像美術が素晴らしい。
前作の創世記から時間が経って観たけれど、絶対的な父親となったシーザーの圧倒的存在感にただただひれ伏しました。
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