YukiSano

猿の惑星:新世紀(ライジング)のYukiSanoのレビュー・感想・評価

3.6
知性とは何か?
叡知とは何なのか?を問いかけてくるSF映画。

始めに怒りに満ちた瞳から始まるこの作品は知性を得た猿が平和に暮らしている所から、やがて人類との戦争に至る。

分かりやすく歴史の中で戦争が何故起きるのか縮図として示してくる。そこで浮かび上がってくることは、生存本能における殺意よりも、理性を持ちながらも戦争に至ってしまう経緯である。

ブレードランナーなどと同じで、猿自信が人間の一部分のメタファーとして現代的なテーマが炙り出されていく。

この作品の場合は、知性を持つ者の殺意と他者との信頼関係がテーマ。やや強引な展開で好戦的なキャラクター達が互いの陣営で暴走することにより、憎しみの連鎖が加速する。それでも相対する他者を信頼する姿も描かれ、そのどちらも知性を獲得したものにしか、持ち得ることのない感情なのだと理解できる。

猿は進化して人間と同等となった。だがラストのシーザーの瞳はさらにその先を見据えている。違う種族同士が絆を勝ち得て共存することが、猿や人間にとって本当の進化だと訴えかけているとしか思えない。

我々、知性を持つ者はさらなる高みを目指すべきだと示している。その高みにあるものこそ本当の叡知だと呼べるだろう。

この時代を乗り越えろというメッセージをあの瞳から受け取った。
YukiSano

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