あーさん

ANNIE/アニーのあーさんのレビュー・感想・評価

ANNIE/アニー(2014年製作の映画)
3.7
ミュージカル映画強化月間!
番外編 Part 2

リメイクとは?
「新しく作り直す」こと。
興行的にも成功することは少ないらしく、例えば古典的名作「ローマの休日」などは到底前作を超えられないだろうと企画自体が中止になったという(良かった!)。
過去にヒットしたものを焼き直して新しく見せるのは、簡単なようでいて実はかえって難しいのではないか?と思う。。

今作は舞台を現代に移し、設定も少しずつ変えている。
アイディアは良い。
ウォーバックスは名前がスタックスに変わり、IT企業のCEOになっている。おまけに市長選挙に出馬するという。そのキャンペーンに孤児を利用しようとする考えである。なるほど!
そして今作のアニーは優しいというより、辛いことも跳ね飛ばすような元気印の現代っ子。

時に笑いも交えながら、時に心に孤独を抱えた現代人としての悩み(仕事中毒、友達がいない、家族がいない)をシリアスに描いていていて、シナリオ自体は悪くない。

しかし、私が何か違う?と思ったのは…
スタックス役のジェイミー・フォックスは嫌いではないし歌も上手い(未見だが”Ray/レイ”等の評判の良さはわかっているつもり)し、演技も頑張っていた。
ただ、、年も若いし人の良さが滲み出てしまって頑なな仕事人間というキャラクターにどうしても合わないのだ。
アカデミー賞最年少ノミネート女優クワベンジャネ・ウォレスが演じるアニーも前向きで素敵なんだけど、健気さという点で自分の中のアニーのイメージと違う…。純粋さで周りをどんどん巻き込んで変えていくあのパワフルさというのは、、ちょっと物足りなかったなぁ…。
そこも含めて現代風アレンジなのかな?でも、アニーは人の悲しみややるせなさに寄り添って「大丈夫!明日になれば…」と言ってくれる、そんなイメージなんだけどな。。
そういうシーンも無いではないけど、うーん足りない!

それから、是非言いたいのはミスハンニガン役のキャメロン・ディアス。これはおそらくミスキャストだし、中途半端だし、お気の毒。かなり頑張ってはいたけれど、これはキャスティングした人の責任!まず年齢的にももう少し上の方がしっくりくるだろう。前作でミスハンニガン役キャロル・バーネットはコメディエンヌで舞台でショーもする女優さん。あの振り切れた感はなかなか普通の女優では出せないと思う。一度見たら忘れられない愛すべきキョーレツなキャラクター、ハンニガンさん!
下品な演技ってそのままだと本当に下品にしか見えないのだけれど、上手い人はそこにリアリティを持たせてユーモラスに演じることでギリギリの線を保つのじゃないかな…。キャメロン・ディアスにそこまでは求められないよね。。残念!
あと、何回も出てくる食べ物を吹くシーンはやめてほしい。全く面白くないので。。
孤児達も今風の普通の子と変わりないのは、昔とは置かれている環境が変わったからなのだが、前作でパワフルな生命力を嫌でも感じさせられたのでどこか軽さを感じてしまう。。
全てが現代風にアレンジされていることから来る違和感、仕方ないのかな。
ウォーバックスのお屋敷の使用人達のダンスのような心踊るシーン、それぞれの気持ちが近づいていくシーンがほしかったなぁ。。

ただ…今まで書いたことは私自身が前作に対する気持ちが強いが故に感じてしまったことで、多分前作を観てない人にとっては全く新しい観点で観れる楽しい現代ミュージカルなのでは?と思う。
ブロードウェイ・ミュージカルと謳っているわりにはダンスはそこそこだったけれど、歌のレベルは結構高いと思うので。。

一番好きなシーン。

冒頭、教室でアニーが指名された時のパフォーマンスにはすご〜い!とドキドキわくわくさせられた。そこから、街の色んな音を音楽にのせていく演出も好き。

ラストもとても好感が持てる終わり方。オバマ大統領を意識しているのかな?

前作と比較しなければ、なかなかハートフルで素敵な作品なのでは?と書いていて思った次第!




追記

アニーの歌の中で一番好きな
”Tomorrow”の訳詞をコメント欄に載せておきます。(映画の字幕より)
歌詞ではなく訳詞の方が私は気に入っているので。。

ご興味のある方はどうぞ!
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