EDDIE

ソロモンの偽証 前篇・事件のEDDIEのレビュー・感想・評価

3.8
いったい誰が柏木くんを殺したの?警察も教師も自殺と断定した事件が思わぬ方向へ展開していく宮部みゆき傑作ミステリーの実写化前編。

監督は『八日目の蝉』の成島出。
本作の特徴としては脇を彩る演技派の大人の役者がいながら、あくまで主役は子供たちという点。
主人公の藤野涼子役は、本作のオーディションで女優デビューを果たした芸名も藤野涼子。その後も『クリーピー』などの話題作でも活躍しており、個人的には近日公開の『影踏み』にも出演しており、そちらの方も大変楽しみでございます。

この映画は正直言って、前編だけで評価を下すのは難しいです。やはり物語が完結しない以上は何とも言い難いんですよね。
しかも後編に繋ぐ直前の本作のラストシーンがあまりにも中途半端な終わり方で、ある意味CMでチャチャを入れる地上波放送のドラマやバラエティのような切り方。

とは言え物語の展開としては事件の全貌が全く掴めず、ミステリーとして話にどんどん引き込まれていくため傑作の予感がぷんぷん。個人的にこの前編は最後の切り方を除けば、基本的には素晴らしいミステリーサスペンスでした。

ただ一つ大きく気になったのが、子役たちの演技。メインの子役たちは藤野をはじめとして、みんな素晴らしかったと思います。神原役の板垣瑞生、大出役の清水尋也は特に印象的でした。
一方で、他のサブ子役たちがあまりにも学芸会の誇大演技すぎてなかなかに入り込めない。学年一の秀才・井上役の西村成忠なんかあまりにも中二病すぎるセリフ回しと役柄が失笑を買うレベルでした。まぁこれだけ中学生あたりの子役たち中心のキャストともなれば仕方がないのかもしれませんが。
特に重要なキャラの柏木役の望月歩の演技については後半に預けさせてもらいます。

大人の役者陣については、黒木華が異彩を放っていましたね。信じてほしい同僚の教師たちにも信じてもらえず、変な隣人もいるしと心がどんどん落ち込んでいく流れの中で、消え入るような声、今にもぶっ倒れそうな弱々しい佇まい、凄かったですね。
三宅樹里のお母さん役の永作博美もこれまで演じたキャラクターを覆すような異常性を持った役柄で印象が強かったですね。

さて、後編の裁判はまた別レビューにて。
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