Tラモーン

ファイ 悪魔に育てられた少年のTラモーンのレビュー・感想・評価

4.0
うわ〜!
エンドロールに全部持ってかれた‼︎こんなんズルいよ‼︎切な過ぎやろ‼︎

冒頭、誘拐された主人公であろう少年が暗闇で何かに怯えている。
一転して走行中の電車内、アタッシュケースを持ったナード風な男が刃物実演販売の男性を人質に警察官に取り囲まれる。1人を射殺しホームに降り立った男に迫る刑事。男はあっさり武器を捨てるが、次の瞬間、人質に取られていた男性が刑事の腹を包丁でひと突き。
「えっ」と自然と声の出る強烈なオープニング。めちゃくちゃ引き込まれる。

誘拐された少年はファイと名付けられ、彼を誘拐した犯罪者集団「白昼鬼」に育てられる。銃や刃物の扱いに、対人格闘術や車の運転、鍵の開錠の仕方などあらゆる犯罪技術を叩き込まれていた。

白昼鬼は5人組で手際良く犯行を行い、証拠や痕跡を一切残さない犯罪のプロ集団。彼らが汚職刑事から引き受けた、都市開発立退拒否の実業家の暗殺依頼をキッカケにファイの運命が大きく動き出す。

まず白昼鬼のメンツのキャラが立ってて非常に魅力的。そしてこんなところにチョ・ジヌン!めちゃくちゃいいキャラだったよ。『毒戦』のときと全然印象違う。白昼鬼の中で唯一の癒し系。
それから個人的に好きなのは『悪いやつら』でハ・ジョンウの部下を演じていたキム・ソンギュン。ヤバい状況でもヘラヘラ笑っているイカれたナイフ使い。ぼくも顔だけで韓国俳優がピンとくるようになってきました🇰🇷
ダントツでヤバい殺人犯ソクテを演じたキム・ユンソクは常に目がすわってて怖かった。ほぼ盲目の人でも怯える眼光。


自分が殺した男と、自分を育てた5人の男たちと自分の関係の真実に気が付いてしまったファイの切なく悲しい復讐劇。
とにかく容赦が無い。めちゃくちゃバイオレンス。
事件に関わっている白昼鬼とチャン会長一味を一網打尽にしようと廃工場に呼び出すファイの罠から始まる戦闘シーンがめちゃくちゃエグい。スナイパーライフルで吹き飛ぶ手首。飛び交う銃弾と血飛沫と脳漿。突き立てられるナイフと流血。そして育ての父親との辛い別れも容赦ない惨劇。

終盤で明かされるソクテの悪魔たる由縁も恐ろしい。恩人を大怪我を負わせ、強姦した女性の人生を奪い、1人の少年から両親を奪った。
病室に駆け込んだファイが見た光景の恐ろしさよ。泣きながら笑い崩れ落ち、怒りと悲しみに満ちた叫びを挙げるヨ・ジングの演技は圧巻。どうしたらこんな感情演じられるんだ。
本当に救いが無さすぎる。

ラストシーンでソクテと相対するファイ。彼の中で育っていた怪物と、怒りに満ちた復讐の終わりが呆気なくも悲しい。

そしてこれまた強烈なエピローグを挟んでからのエンドロール。
例え悪魔であろうと、自分を育ててくれた父親たちへの感謝や愛情がなかったわけではない。むしろファイは父親たちのことが大好きだったんでしょう。強烈で圧倒的な惨劇に切なさを残す見事なエンドロール。

残った2人には幸せになってほしい…🙏
Tラモーン

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