ゆめちん

サード・パーソンのゆめちんのレビュー・感想・評価

サード・パーソン(2013年製作の映画)
4.5
サード・パーソン

この作品、映画館で2回鑑賞しましたが上手く消化出来ず、その後DVDで何回か鑑賞しました。

一度観ただけではモヤモヤしか残らなく、それでいて後を引くような意地悪な作品。何回も観て紐解きたくなりますが、本当に練りに練られた脚本でいい作品だと思います。

パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に、"小説家とその愛人"、"胡散臭いビジネスマンとジプシーの女性"、"息子を夫に奪われた元妻"、3つの物語が同時進行する群像劇ミステリーを、味のある俳優陣がそれぞれ演じます。

・・・と書きましたが、その3つの物語をひとり寂しく執筆している小説家のストーリーが合間合間に入るため、観客は??となり、さらにメモ、白いバラ、ホテルなど、互いの物語に別の物語のものが入り込んでくるのも、複雑に感じさせるのだと思います。

各々の物語が、登場人物のそれぞれの愛や悲しみが丁寧に描かれ見応え十分で進み、"子ども" がキーワードとなって最後に上手く着地し、纏まっていきます。(・・と分かるまで何回か観ました😊)

影のある人物が多く描かれる中、作品を通して唯一人間味のある人物に描かれていたのが、画家リックの恋人サムでしょうか。台詞は少ないのですが、同性のジュリアへの情を垣間見せ、優しい心がスクリーンから伝わり温かい気持ちになります。

鑑賞後はスッキリとせずモヤモヤするため、好みが分かれると思いますが、観た人と色々語り合いたくなるそんな作品で、ポール・ハギス監督の罠にハマりたい方は是非!!
ゆめちん

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