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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のsiaのレビュー・感想・評価

3.2
DCの二大ヒーロー、バットマンとスーパーマンの世紀の対決。

今回新たにバットマンスーツを纏うベン・アフレックのブルース・ウェインは良かったです。
まだヒーローとして目覚めたばかりのスーパーマンとは対照的な、ベテランの風格を感じさせる良い配役でした。
ジェレミー・アイアンズ演じるアルフレッドも渋くてカッコいい。

ただ、ブルースがスーパーマンの殺害を決心するまでの流れはかなり短絡的に感じてしまいました。
視聴者が彼のことを理解して好きになるための時間も与えられないまま、ブルースはどんどん突っ走っていきます。

やっぱりまずはバットマンとしての単独作品が必要だったんじゃないでしょうか。

今回のバットマンは相棒をジョーカーに殺されるというつらい経験をしており、人を殺すことにも躊躇いがありません。
きっと『ダークナイト』のブルースとはまた違った過去を歩んできているはずだし、彼の人となりをもっと知ることができるオリジンストーリーがあった方が共感しやすかったんじゃないかな。

たとえば、今作の冒頭で被害に遭うウェイン社の社員たちが単独作品で一度登場していたりすれば、視聴者ももっとブルースの悲しみや無力感に寄り添うことができたはずです。

なぜ話し合いや歩み寄りの余地もなく即座にスーパーマンを殺さなくてはならないのか、肝心の部分がしっくりこなかったのでそこから展開するストーリーにもなかなか入り込みづらかったです。

敵対するスーパーマンも、前作同様キャラクターとしてはあまり好きになれませんでした。
自身の行動も大きな被害を出しているはずなのにブルースに釘を刺したりするし、全体的に言動がなんだか他人事っぽいです。

バットマンとスーパーマンのどちらにもイマイチ共感できないので、彼らの戦いそのものにあまり興味を抱けなかったのが今作の最大のネックでした。

あんまりMCUを引き合いに出したくはないんだけど、『シビル・ウォー』はこの辺上手かったんですよね。
シリーズを積み重ねてそれぞれのキャラクターを好きにさせた上で、どちらにも感情移入できるような対立構造を作ることでワクワク感や緊張感を演出していました。

その点、今作はヒーロー同士の対決もそこそこに、早く『ジャスティス・リーグ』の下準備をしたいというのが透けて見えちゃってるのが残念でした。

今回初登場するワンダーウーマンはキャラとしては面白いんだけど物語的にはいなくても成立したし、フラッシュの登場シーンもあからさまに続編を意識していて唐突です。

先々のことよりも、まずはしっかりバットマンとスーパーマンの戦いの決着を描ききってほしかったです。
母親の話とかレックス・ルーサーの計画とか新たなヴィランの登場などがごちゃごちゃしていたせいで、話の筋がブレてしまったように感じました。

アクションもキャストも悪くないし、もっともっと良い映画になりそうだっただけにもったいない作品だなあと思いました。
とは言えこれから面白くなりそうな要素は色々と散りばめられているので、今後の展開には期待したいです。



あとひとつ見ててすごく気になったんだけど、わざわざドゥームズデイをクリプトナイトの槍がある場所まで連れていくよりも槍を持ってきた方が絶対早いですよね。
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