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抵抗の詩のmhのレビュー・感想・評価

抵抗の詩(1969年製作の映画)
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WW2最中のユーゴスラビアで起きたクラグイェヴァツ虐殺(1941年10月21日)がテーマ。
子どもたちがいっぱい出てくるので「わんぱく戦争(1962)」みたいな雰囲気。実際、大ヒットしたそれに寄せてることは十分考えられる。
子どもたちは孤児っぽくも見えるので、もしかして虐殺が起こったあとの話なのかと勘違いするほど、中盤まではほのぼのコメディ。孤児っぽく見えた理由は、親たちがレジスタンス活動に参加もしくは、その犠牲になったという解釈で間違ってないみたい。
憎きナチス親衛隊の靴を磨くのか磨かないのかどっちなんだいという状況にも、磨いてちゃっかりしているしているところを見せてくれる。
ただしそれも中盤までの話。
終盤はもうずっとクラグイェヴァツ虐殺について。
ドイツ兵の死者一人にたいしてセルビア人住民100人。負傷者一人につき50名の処刑を求めたのは本当のことみたい。こうしたやりかたで抵抗運動を抑制するこがナチスドイツの目的とのこと。
ただし、この映画で示される8000人は誇張された数字。チトー政権下ユーゴで制作された映画なので、豪快に数字を盛る共産主義やりかたを踏襲している。実際は2800名弱だったとのこと。
もうひとつのミスリードは、ナチスドイツへの抵抗運動をしていたセルビア人のレジスタンス(共産主義者含む)ではなく、ゲリラ活動をしていたのはチュトニクのみなさんでどうかというと反共主義。
(WW2の頃のユーゴは、チュトニク、ナチスドイツ+ウスタシャ、チトー率いるパルチザン部隊のみつ巴)
みっつ並んだ大きな小屋に住民を閉じ込めるんだけど、「炎628(1985)」的な流れになるのかと、眉ひそめてたら、「水飲みたいやつは出ろ」とか「ドイツで働きたいものは出ろ」など、がんがん数が減っていき、残ったひとたちも小屋から出されてしまう。あの小屋いったいなに。
結局、屋外で皆殺しにされ、それを目撃した子どもたちは、ナチス親衛隊の靴磨きを拒否してたことで、自分たちも虐殺されてしまう。
「ヨーロッパの解放」よりも前に「ネレトバの戦い」を作っていたように、ユーゴスラビアは先取りする。これもかなり早い段階で虐殺を扱ってる。まあ、「ネレトバの戦い」と同じく、面白いかどうかはまた別のはなしなんだけどね。
字幕入りフィルムをもとにしたVHSで、画質がめちゃくちゃ悪かった。字幕が読めねぇレベル。
面白かった!
mh

mh