イチロヲ

卍 まんじのイチロヲのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
4.0
抑圧的な生活を強いられている夫人(岸田今日子)が、美術学校で知り合った娘(若尾文子)と同性愛の関係に陥る。谷崎潤一郎の同名小説を映像化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

個人的な意見だが、岸田今日子が描いた菩薩の仏画に、仏像特有の「ひねったような腰つき」が描かれていないところが不満点として挙げられる。菩薩と若尾文子の肉体を重ね合わせる描写が要点となるだけに、直立してるだけの仏画では説得力が薄れてしまう。

岸田今日子の大仰な演技は、恋い焦がれるあまり「天然の麻薬成分が分泌してラリっちゃってる人」だと思いながら人間観察すればオッケー。若尾文子の下腹部ギリギリの線まで拝ませてくれるところも嬉しい(ボディダブルかも知れないが)。

「父権主義が根付いている時代に、女性主導の自由恋愛を説く」という谷崎イズムが全面に打ち出されており、一息に鑑賞することが可能。ナンチャッテ大阪弁に目をつぶる必要があるけれど、映像化された谷崎文学を楽しむことができる。
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