世界的デザイナーであるイブサンローランの残した功績とは裏腹に荒れた私生活を描くという作品。華々しいファッションの世界のウラでもがく1人の"人間"が描かれていたのが印象的だった。
クリスチャンディオールに師事し、異例の若さでディオールのデザイナーを任され、自身のブランドも立ち上げるという順風満帆に見える経歴。初の有色人種をランウェイに起用したり、シースルーを提案したり、ファッションにおける革命児。しかしその華々しい世界とは裏腹にプライベートはかなり荒れていた。
ポヘミアンラプソティなどでも描かれていたことだが、有名人も1人の人間であり、人並みに悩み苦しむ。彼らの苦悩に寄り添ったような描き方がされていて、とても誠実な作品だと感じた。
ファッションの作品であるだけに、眼に映るもの全てが美しく、画面を見ているだけでも眼福。
服好きはもちろん、それ以外の人でも十分に楽しめる作品に仕上がっていた。