バナバナ

ジャージー・ボーイズのバナバナのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
4.0
この作品に出てくる曲はかなり古いのに、聞き覚えがある曲ばかりでしたが、歌っているのがフランキー・ヴァリだとか、フォーシーズンズというバンドだったという事は、この映画を観て初めて知りました。

この作品は、フォーシーズンズで作曲を担当していたボブが、後年自分達の曲を使ったミュージカルを作りたいという事で、プロの脚本家二人に脚本を頼み、
その脚本家たちが当時のメンバー一人一人に取材に行ったら、みんなそれぞれが同じ内容を違う視点で話すのを聞いて面白く思い、バンド名の“四季”にもちなんで、ミュージカルは4つのパートを、メンバーそれぞれのモノローグで展開する形にしたのだそうです。

メイキングを観たら、映画の方はミュージカルで長年同じ役を演じていた俳優たちが選ばれたそうで、歌の実力と役柄の理解度は折り紙付き。
そして俳優側も、舞台俳優といえどもハリウッドの映画に出る事は憧れであり、しかもイーストウッド監督作品に出られたので、大感激だったそうです。

本作は、春夏の部分では、歌の実力はあってもなかなか売れなかったものの、ボブが加入して楽曲が良くなってからは大ヒットして忙しくなった頃を描き、
秋冬の部分ではメンバーが仲間割れをして分裂し、最後はそれでも一人、歌の世界に残ったフランキー・ヴァリの苦労した部分が描かれています。

メンバーのニックが去る時、何故これ以上続けないのかを語っていましたが、その理由が冬のフランキーのパートの部分にも深くかぶさっていたのが印象的でした。
フランキーさん、音楽では殿堂入りを果たされて素晴らしい実績がありますが、私生活の部分では余り恵まれなかったのですね。
フランキーさん自身はしごく真面目な方なので、他の音楽映画の様に破滅的な感じはなかったですが、これだけ歌に人生を捧げたのに、決して幸せな事ばかりではなかったという事が、しっかりと描かれていました。

日本でも21世紀になっても、よくCMやドラマのBGMなどに使われ、耳障りの良い曲ばかりだったので、それを歌われている方達がこんな人生だったのかと、興味深かったです。
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