ベイビー

ゴーン・ガールのベイビーのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
3.9
昔に観た時はあまりピンと来なかったのですが、今回改めて観ると、う〜ん。面白い。

Aパート、Bパートからなるミステリー。日付けテロップの演出が効果的でいいですね。エイミーの失踪後、章区切りみたいに日にちの経過を知らせるテロップ。日にちと同時にニックの状況が移り変わり、ミステリー要素もどんどん深まって行きます。

そしていきなりのBパート。Bパートになると、同じ日にちの過ぎ方でも見え方が一変し、物語の方向性もここから大きく変わって行きます。

ダメな夫とサイコな妻。やはり男性と女性ではこの作品の見え方も違うんでしょうね。ニックのダメっぷりを見ていると、まるで自分を見ているようで、理想の自分で居続けようと背伸びをしてみても、結局は楽な方へ落ち着いてしまいます。

理想を描き続けるというのは一つの執着です。エイミーのライフワークでもあった「完璧(アメージング)なエイミー」はその象徴ですね。実在するエイミー自身が叶わなかった事を架空のエイミーの世界では実現されています。理想に執着するあまり、物語の中の自分自身に理想の世界を投影させてしまうのです。

エイミーの結婚生活は理想とは程遠いもので、粉砂糖の様に甘く降り注ぐものではありませんでした。物語の中のエイミーは、常に幸せでなければならないのに…

結婚生活って筋書きのない"物語"なんでしょうね。妻役が居て、夫役が居て、どちらもそれを上手く演じなければなりません。エイミーにとっては理想(形)が全てで、マスコミ(世間)からの羨望の的でなければならないのです。自分自身の存在は、常にアメージングでなければならないのです…

そんな"結婚生活"を皮肉った今作。エイミーを演じたロザムンド・パイクがとても素晴らしかったです。あの美しさと激太りの振り幅よ! 彼女からサイコパスを感じれば感じる程、美しいと感じる僕が居ます。
ベイビー

ベイビー