misty

天才スピヴェットのmistyのネタバレレビュー・内容・結末

天才スピヴェット(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画ってわりと観たそばから忘れていくものも多いし、ましてBGMなんて映画館出た瞬間に頭から吹っ飛ぶことがほとんどだけど、この映画のメインテーマがとっっっても好きで今でも口ずさめて、この音楽がまた聴きたくなったので観た。こういう映画も珍しい。

生まれるのが100年遅かったカウボーイ気性のお父さん、虫を愛するお母さん、アイドルになりたいお姉さん、自分とは正反対で、死んでしまった双子の弟、アメリカを西から東へ横断するロードムービーなんだけど、愛がない空っぽな家族だと思いつつ家出してきた割に家族の愛は思いもかけず深かった。

いつも弟にぐちぐち言ってる姉ちゃんが、その弟がいざテレビに出たとき「わたしの弟が映ってるの!8歳まで靴紐も結べなかったのに!」って感極まって友達に電話してるのを見て泣いてしまった。そして甲虫学者のお母さん(ヘレナ・ボナム=カーター)の異様な存在感。お父さんもナイス。いい家族。
しかし、スピヴェット少年は両親を見てなんでこのふたりは結婚したんだ…と常々疑問を抱いているが側から見たら愛しかないけどなこのふたり… 夢にあふれた映像、キャラ立ちすぎの家族たち、やたら親切な道中の人たち、ほんの少し生活を豊かにするスピヴェット少年のささやかでも偉大な科学。

スピヴェット少年の科学はほんの少し生活を豊かにすることだけに使われてるのがとてもいい。そしてスピヴェット少年の頭の良さは、世界をほんの少しだけすてきに見せている。欲張らない、生活に根ざした、血が通ったあたたかな科学。
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