青の

天才スピヴェットの青ののレビュー・感想・評価

天才スピヴェット(2013年製作の映画)
4.0
見ていない方はご注意を。














全てのシーンを切り取って、ブリキの宝箱にしまいつつ、夜な夜な毛布テントの中で眺めたくなるような作品。

平原、青空、お家、父さんの部屋、昆虫標本、トースター、靴下、トランク、貨物列車、キャンピングカー、ベッドカバー、踏切、操車場、ホットドッグ、船長、夜の町、ブランコの少女、そばかす、日記、永久機関‥‥。
少年T.Sの瞳が捉える全て。
あぁ、こんな色彩達に囲まれていたらなぁ。
さぞかし毎日が楽しくて、関わる物全てを大切にしたくなるだろうなぁ。なんて考えながらも、僕らは我に(物語に)返るのだ。

そうだ、レイトンはウィンチェスター銃で死んだのだ。

パパもママも、最初からレイトンがいなかったかのような顔をしている。
しかし、T.Sにとってはレイトンはまだそこにいる、まだ受け入れられないでいる。
永久機関を発明した天才とはいえ、「死」を他人事のように感情の解説はできないのだ。
ママもパパもグレーシーも見えない壁をこさえてしまっている。
皆、自分の中それぞれにどんな顔をして過ごしていいのか分からないでいる。
あの時から、皆の永遠と思われた愛情の機関は止まってしまい、誰にどんな愛情を注いでいいのか分からなくっなってしまっている。
だから、少年T.Sは孤独だ。T.Sは皆んなと分かち合いたかっただけ、レイトンの死を皆んなで確認したかったのだ。
物語はあまりに暗く重くならないようにグラフであったり色彩によって明るく振る舞おうとするも、根底にそれがあるので見る側はワクワクしながらも切なくてたまらない。

「ぼくはひとりです」とT.Sは懺悔のうちにありのままをスピーチし、家族との距離を自ら確認してしまうが、見ている僕らはママの姿を見つけて涙してしまう。
「T.S大丈夫だよ!来てるよ!」と。

スミソニアンにおける偽善的で幼心を食い物にしようとする大人の事情世界に対し、ママは「こんなとこにいちゃダメ」と言わんばかりにその世界からT.Sを救い出す。
T.Sはママに飛びつき、ママはしっかりと、うんと小さい子にするように抱っこする。
止まりかけた家族の永久機関は再び回りだし、さらにはレイトンの生まれ変わりのような新しい家族も増えた。
グレーシーは見た目だけではなく、中身にも磨きをかけはじめた。
タピオカも元気だ。
パパと言えばレイトンにライフルを与えた責任もあるから、今後は少しそのスタイルも変わっていくのだろう。
でも、またそれは別の物語。






『ミック・マック』でも軍産複合体に対するアンチっぷりがあったように、今作も全米ライフル協会に対する辛辣なメッセージが。
「子供にライフルを持たせる親なんて、どうかしてる」
とママに言わせる。
比較的保守層が多いとされるモンタナを舞台としたのも意味があるのだろう。
監督の子供に対する暖かで優しい視線と同時に、大人が作り上げた度し難い罪への糾弾も明確で、この社会での主役は一体誰なのかを伝えている。


ちなみに、キャンピングカーでの『Oh!マイキー』みたいななりすましシーンがツボ(笑)


で、やっぱりドミニクさん出てますね。
で、グレーシーがクロエさんと思いこんでた。全然違う人でした(笑)