木津毅TsuyoshiKizu

白鯨との闘いの木津毅TsuyoshiKizuのネタバレレビュー・内容・結末

白鯨との闘い(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 ハーマン・メルヴィル『白鯨』へと連なる実話ということは、それはアメリカの「heart」の問題だということだ(原題は『In The Heart of The Sea』)。アメリカの「heart」とは何か……この映画は捕鯨漁の時代を語りつつ、それは燃料産業のことだと指摘する。映画の終わりで「黒い血」である石油に言及されるとき、そのことがわかるようになっているのだ。
 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『プロミスト・ランド』、『アメリカン・ドリーマー』など近年のアメリカ映画をいくつか連想するが、アメリカにとって燃料とは血であり、死であり、そのことによって生かされているわたしたちであるのだろう。勇ましかった映画がちょうど折り返し地点でひたすら過酷で壮絶なサバイバル劇へとなだれ込んでいくとき、わたしたちは多くの死者たち、その命懸けの苦闘とともに生かされていることを悟るのである。