捕鯨反対を訴えかける狙いもあるのだろうが、倫理的宗教的な問いかけと捉える方が、この映画を矮小化せずにすみそうだ。
まず、過去の出来事を懺悔のように語る構成がいい。ちょっと違うかもしれないが、サリエリがモーツァルトのエピソードを懐古的に語ってきかせる名作「アマデウス」を思い出した。
邦題にもなっている「白鯨との闘い」のシーンは圧巻で迫力満点。鯨の「眼」を切り取るフレーミングは、宇宙とか神の存在を意識させる。また、エンディングのシーンで報酬として用意されたお金を、横から妻がとっていくのも面白い。他にも「ポラード船長のいとこ」の振る舞いやセリフも効果的。名シーンを挙げだしたらきりがない。音楽もよい。
まさに名作と言ってよいだろう。