それは60年代と70年代の間。借家の隙間のその向こうに見える浜辺。ヤク中の私立探偵が、昔の彼女を探してんだか、不動産王を探してんだか、FBIの駒を探してんだか、これがもうさっぱり見えてこないw オマケに彼はずっと切れ目なくラリってる訳で観てるこっちまでこれは幻想か?とケムに巻かれまくり。
ジョアンナ・ニューサムは現代の吟遊詩人のようなちょっとイカれたミュージシャンでホント大好き。彼女は女達の霊体のように語りだす。ジョニー・グリーンウッドはカメラマン。
音楽はやっぱりいろいろ素晴らしくて。CANのVitamin Cはカッコ良すぎてもう今の曲みたいだ。レス・バクスターのエキゾチックラウンジとバットでかっとばしがこんなにもマッチするとはw ここだけ50年代。
探偵ものとしてはアルトマンの「ロング・グッドバイ」のエリオット・グールドに近いけど輪をかけて壊れちゃってるハードボイルドとはなんか呼べないそのハズレ方。あちこちを巡り行き先も見えず混乱するけど、どうにもならなさが面白い。
ヒッピームーブメントやサイエントロジーなどの一見若者らの新しい自由意志に見えている事柄も大富豪によって管理されている。最近もエプスタイン事件がありましたけど、結局あまりにも闇が深く、ほとんど解明される事なく葬られましたね。闇ではずっとこんななんやろって観ながら思いました。
映像で始まり、言葉で締め括られる。「鋪道の下はビーチ!」狭い狭い間からしか見えやしないビーチ。
トマス・ピンチョンはいつか読みたいリスト上位なんだけど、大変そうだな〜w