10000lyfh

インヒアレント・ヴァイスの10000lyfhのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
4.0
1970年頃のカリフォルニア、ヒッピーの私立探偵が、麻薬シンディケイトを中心に複雑に入り組んだ人物相関に巻き込まれつつ、複数の失踪者を捜索。個人の思惑を超えて推移してゆく状況、そこをめちゃくちゃ頑張るわけではないがそれなりに泳いでゆく中心人物たちの肖像は、アルトマンの継承だろうか。ヘアスタイルやファッションなど人物の風貌が再現する 70年代は見どころであると同時に、特定の時代を作りこんでいるからこそ、時代を超えて普遍的な、コアにある社会の構造や人間の本質が浮かび上がっているように感じる。伝統的な映画の私立探偵のステレオタイプの対極にあるヒッピーの主人公や、わちゃわちゃと進行するストーリーは、ビッグリボウスキに通じる。ホアキンフェニックスの安定の演技や、70年代風のネオンをシンプルなフォントに落としこんだようなタイトルデザインの洗練みも見どころ。ストリングス曲などグリーンウッドの劇伴に、「上を向いて歩こう」まで含む 70年代ポップス、いい意味で映画音楽の教科書
10000lyfh

10000lyfh