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インヒアレント・ヴァイスのshingoのレビュー・感想・評価

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)
3.9
ポール・トーマス・アンダーソンとトマス・ピンチョンのコラボという夢の様な作品。観たのは数ヶ月前なので思い出しながらのレビューになります。

と言いつつ、思い出そうにも当時から全く意味が分からなかったので何も書けない。困った。ただピンチョンの小説を読み終わった時と同様、意味が分からなかったけど何となく心地よかったという漠然とした感動だけが残ったのを覚えている。同時にその理由を言語化出来ないもどかしさもある。

この作品の原作は実は未読だが、ピンチョンの小説はこれまで「V.」と「競売ナンバー49の叫び」の2作だけ読んだことがあり、感想としては自分がどれだけ無知であるかということをただ思い知らされた。だがそれは優れた作品の一つの条件みたいなものだと思っており、そういう作品は「答え」というものを見つけることがどれだけ困難なことかを導いてくれる。そしていくつもの疑問が生まれ、また読み返したくなり、その度さらにまたいくつもの疑問が生まれ…というサイクルを何度も繰り返す。

意味が分からなかったという理由だけで低評価をつけている人をよく見かけるが、そういう人は考えることを放棄しているのだろう。たぶん「答え」が書かれている作品にしか興味が無い、非常に勿体ない見方をしていると思う。それは勿論映画でも小説でも同じことが言えて、考えることを何度も掲示してくれるこの作品は間違いなく名作だと言える。そして「答え」が書いてる作品ほどつまらないものはない。

という、それっぽいことを書いて自分の洞察力の無さを誤魔化してみたが、肝心の作品について1ミリも書いていないのは流石にレビューとして問題があるかもしれない。だがそれも批評の一つの形、ということは無いと思うので次からはせめて作品に触れたレビューを書きます(こんな低い目標を掲げる人って他にいるんでしょうか?)
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