MASAYA

ジャッジ 裁かれる判事のMASAYAのレビュー・感想・評価

ジャッジ 裁かれる判事(2014年製作の映画)
4.3
文句なしの今年2位
2015年が終わる前にもう一度と思いDVDで再鑑賞。


片田舎で42年間にわたり小さな町の裁判所の判事を務めたパーマー判事(ロバート・デュヴァル)。気高くプライドをもって仕事をしてきた反面、家では厳格で傲慢で短気でとてつもなく頑固な父親。

そんな判事の息子のハンク(RDJ)は子供の頃のいざこざから父親とは絶縁状態。反発心からか倫理観に従う父親とは異なり、金をもらえば持ち前の弁証力で判決は思いのままという敏腕弁護士。真実など関係なく法律と屁理屈で裁判に勝つといった印象。都会の第一線で戦っているというのもまた父親への皮肉のように感じる。

物語は母の死をきっかけに息子が地元に帰るところから始まる。久し振りの家族の再開にも冷たい父親ハンクの兄と弟にはハグなのに、ハンクには握手。あからさまな嫌がらせ。そんななか、ハンクがシカゴに戻る日に事件は起こる。

父親が殺人事件の容疑者として逮捕される。
町で人々から絶大な信頼を寄せられる、正義感の強い"判事"が轢き逃げの容疑者となってしまったのだ。
はたして判事と息子は身の潔白を証明することができるのか……


もうこの設定の時点でがっつり心を掴まれました。まずRDJは弁護士役似合いすぎカッコよすぎ。そして法廷サスペンスかと思いきや、本当のテーマは"家族"。登場人物各々の家族を異なる切り口からスポットを当てていることによって個々の関係性が映えていた。

例えばハンクと別れる寸前の妻との口喧嘩であったり、親父が倒れた時の長男と次男の本音のぶつけ合いであったり。個人的にお気に入りだったのは、両親の不和に気づいている娘を膝にのせてハンドルを握らせながら会話をするシーン。思いの外子供の世界は進んでいることに少し戸惑うハンクがかわいい。

しかし何と言っても注目すべきなのは判事と息子の関係性。意地を張って最初は地元の弁護士に自分の弁護を依頼するものの、そいつは無能すぎて自ら辞退するはめに。結局息子頼みなのに、素直には頼めない姿がまた良い。そんな二人に些細なことから訪れる雪解け。美しい。
観た人は分かると思うが、バスルームで判事を介護するシーンはもっとシリアスになってもよいはずなのに、今までのいざこざがどっかにいったかのような雰囲気だし、初めて笑顔を交わした点でも意義深く感じた。

家族がテーマでも法廷シーンもちゃんと面白いから脱帽。家族を描くシーンが多いが故に裁判のシーンが逆に浮き彫りになっていてよかった。
ハンクの凄腕感が伺える陪審員へ質問をしてクスッと笑える場面もあれば、緊張感溢れる検察側との一進一退のバトル。このギャップがまた絶妙でたまらない。

決着も素晴らしかった。いくら不利になっても涙目になりながらあの手この手でもがくハンク。そして判事の口から明かされる衝撃の"事実"と"真実"。

こればかりはもう「是非観てください」としか言えません。なぜここまで好きになったかと言うと、おそらく変な綺麗事なんかはなく、それぞれが純粋に気持ちをぶつけていたから。そういう意味では同じく親子、兄弟を描いた『ウォーリアー』を彷彿とさせる非常によくできた良質なヒューマンドラマです。

実はこの作品、期末テストの最終日に友人と観てきたのですが、その日は第二外国語に民法に刑法と科目がヘビーな上に、徹夜明けだったので寝てしまうのを覚悟してました。しかし始まってみると一気に引き込まれ、142分という長さを感じずに終わりました。


ラストのボートで向かい合って釣りをするシーンで父が息子にこう言います。
「お前だよ」
「僕が何?」
「最高の弁護士を聞いたろ?」
「お前は師匠を選んだ」
「私はお前を選ぶ」

悲しくも幸せな気持ちになれる和やかなエンディングに泣きました。


2015.1.27