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コードネーム U.N.C.L.E.のp99のレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
4.0
スパイ、スーツ、銃、車、CIA、KGB…僕の大好物じゃないか!ということで観に行った『コードネームU.N.C.L.E.』。

実は60年代のテレビドラマのリメイク作品だって知っていましたか?僕は鑑賞後にWikipedia観るまで知らなかったのですが、違和感なく観ることができました。なので、ドラマ版を知らなくても楽しめる作品だと思います。(知ってたらニヤリとする場面があったかもしれないですが…)

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ナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)はそれぞれ007のような女たらしと堅物というドラマ版の設定を引き継いでおり、2人が出会い、初の共同任務をこなすところから物語はスタートする。つまりはリブート作品だ。

本作の舞台は冷戦時である。『007』も『キングスマン』も舞台を現代に置き換え「現代」のスパイを描いている中、本作では「スパイ全盛期」である冷戦時代を描いているところが大きな特色となっている。

車や装備など、一つ一つのアイテムは時代を感じさせるものではあるが、2人がそれを使用する様子は全く古くさくない。彼らのスマートな演技に加えて、早いカット割りと要所要所だけを魅せる編集がそうさせているのだろう。

アクションシーンでは、ダートコースでのカーチェイスが特に記憶に残った。敵が逃げるのを、2人が車とバイクでそれぞれ追いかけるのだが、このシーンの撮り方は素晴らしく、地形が「航空写真」のように見えるまでの「引き」が効果的に挿入され、メリハリの効いたカーチェイスに仕上がっている。その他のシーンにも地形全体を見渡せる演出が度々出てくる。「これからこの場でストーリーが展開するのか」という期待感があり、個人的にはお気に入りの演出であった。

しかし、潜入シーンや戦闘シーンなどのアクションシーンでは、編集に「小技」を効かせすぎて、逆に迫力を殺してしまっていた。同じくガイ・リッチー監督の『スナッチ』では、低予算であるゆえに、街中のシーンが多く、そのような編集は画面に変化を持たせる意味で効果的であった。しかし、本作のような大作の、物語が盛り上がるシーンで、漫画のコマ割りのような編集を見せられたところで、観客としてはその「小手先感」に若干引いてしまい、物語にのめり込めなくなってしまう(僕が意識しすぎているだけかもしれませんが)。

それと、アクションシーンでも、潜入捜査をしているシーンでもそうだが、2人が悠長に構えすぎているような感じを受けてしまった。あるアクションシーンではいきなり食事を始める始末である…そういうところでは見ている方も緊張感が途切れてしまい、「こちらもなにか物を食べながら観るとちょうどよいのかなあ」と感じた。

「粋」と呼ぶには、ガイ・リッチー監督が「斜に構えすぎ」ていて、やや「無粋」な仕上がりになってしまった。

ストーリーとしては、複雑すぎず「普通に」楽しめる作品だと感じた。いたってオーソドックスである。ほどよく楽しめて、ほどよく意外性がある。ただ、脚本だけで「傑作」になるほどの力はない。その分、魅せ方に凝っている印象であるが、それが良く働いている部分もあれば、悪く働いている部分もある。ただ、その魅せ方に凝っているところで、他の監督の作品と差別化できているのは事実である。

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ということで、けっこう酷評になってしまいましたが、元々好きな題材なのも手伝い、僕にとってはかなり楽しめる作品でした。「一部演出や編集が良くないところはあったが、映画全体としては好き」というのが感想です。映画自体の完成度は高く、だからこそ、「惜しい」部分が目立っての酷評だと思ってください。とりあえず「ガイ・リッチー監督作品」という先入観をなくして観ると、より楽しめるでしょう。スパイ映画好きはきっとハマります!

しかし、ナポレオン・ソロは本当に007のようだなと思っていたら、ヘンリー・カヴィルはJBの最終オーディションに残っていたらしい!ダニエル・クレイグの次が彼に決まっても、かなり納得できる演技でした。ヘンリー押しになろうかな。