エソラゴト

コードネーム U.N.C.L.E.のエソラゴトのレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
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1960年代、2大大国アメリカとソ連が軍拡にしのぎを削り敵対する中、凶悪テロ組織に立ち向かう為に両国の敏腕スパイ2人がチームを組むことに-。

自分は実のところガイ・リッチー監督作品は今回初鑑賞なので、巷で云われているガイ・リッチー印というものがよくわからず、スタイリッシュでありながら外連味タップリの映像作家(?)、マドンナのショーン・ペンの次の旦那で既に離婚(情報古過ぎ?)位の認識度で今回臨んだ次第。

1960年代を舞台にしたスパイ映画と云えば007は言わずもがな、風景やファッションや音楽等は『オースティン・パワーズ:デラックス』を彷彿とさせ、60年代独特の描写が上手く再現されている様に思えた。

東ドイツと云えばトラバント、イタリアと云えばヴェスパ、この2台のビークルの登場だけで気分は高揚したし、冒頭のカーチェイスでボディ超激弱のトラバント大破でも頑丈なロシア人エージェントがピンピンしていた場面には思わず苦笑。

東西冷戦の最中のストーリーということで、米ソの対立関係を様々な物で対比させるシーンが随所に散りばめられていた。東西ベルリンの街並みや雰囲気、エージェント2人の容貌・性格や女性の扱い方、スパイガジェットの性能差等々。(少々ステレオタイプなところは目を瞑ろう)

上からの命令とはいえ、そんな水と油な関係性の主人公2人が最初はギクシャクしながらも次第に心を通わして難所を切り抜けていく姿を主演の2人がスマートに時には熱く演じていて好感を持てた。またストーリーの鍵を握るギャビー役のアリシア・ヴィキャンデルも衣装が変わる度にキュートさが増していくところに目を見張ったが、冒頭の凜とした自動車整備士姿も堂に入っていてなかなか。

アクション、サスペンス、コメディ…、どれか一つでも突出していれば傑作!と言いたい所だったが、『M:I』『キングスマン』の突き抜け度合いやストーリーの引き込まれ具合と比べてしまうと全体的にテンポが悪くどの点も中途半端な感が否めず凡庸に見えてしまったのは少々残念。

まぁでも舞台が60年代だし最新装備満載の現代劇とは違う少しゆったりした感じが出ていて、『キングスマン』とは別ベクトルのスパイ映画オマージュ作品として鑑賞には耐えうると好意的に解釈。そんなガイ・リッチー初心者、60年代テイスト好きな自分には割と楽しめた作品。




追記:口々に言われていた「ヒロシ」とは何なのかが観るまで分からなかったが、やっと理解できた(笑)