JIZE

リトルプリンス 星の王子さまと私のJIZEのレビュー・感想・評価

4.0
児童文学"星の王子様"出版から72年の歳月を経て遥か遠い小惑星から舞い降りた不朽の後日譚!!エブリデイマジックな形態を取る異化効果を賞賛!!第3幕目の未消化感が残る王子像と"大人による大人の世界"を指弾!!まず童話で一切描かれなかった王子の後日譚を描く"その先"の部分は本当に賛否両論があると感じた。また社会の大人全般を諸悪な"悪"と描き開幕でも語り口調を通じ「世界は大人になり過ぎたようだ..」と哀感を込め謳う台詞にこの映画が示す全ての立脚点があり胸を打った..メルヘンサイドな前半部(子供向け)とダークサイドな後半部(大人向け)で事態が途端に深刻味を帯び主役の心情が揺れ動く不可逆な別離感も(甘く表現し)頑張った方だと思いました。想像より内容は子供向け。背景は大人向け推奨な余韻。またシナリオ自体は母親の厳格な指導により将来に対し理想や現実を抑圧された主人公が隣人の老飛行士と出会う事で次第に彼の夢想を享受し自らの道を切り拓く,現実と回想が交互に飛び交う可能性が開かれた希望譚。(矛盾点や最終的に解決しきらない問題も込め)表面的には9歳少女と老飛行士との"心の交流"と"冒険の物語"を古典的な切り口を通じ描く映画である。が,どこか不明瞭で紗が掛かる後味も併せ持つ解釈が錯綜しそうな作品..先に原作者サン・テグジュペリ永遠の名作『星の王子様(1943年)』に関し(この映画を語る上で)述べておかなければいけない。まず,(位置関係で)1943年に出版され現在も尚幅広い年代層に語り継がれ賑わう児童文学の不朽な名作。つまり,星の王子様の物語とはサハラ砂漠に不時着した"若き飛行士"と小惑星から舞い降りた"王子"との出会いから別れを綴る非日常的な童話。バラ,キツネ,ヘビ,星に住む数々の大人たち等,詰め込み感は満腹でした。で,要は本作。全編ファンタジック調で誰が聞いても1歩引き確実に疑う夢物語な構造である故に夢(回想)と現実(日常)が1枚の手紙や老飛行士との交流を通じ果敢に交錯するパラレルワールド感や時代と文明を越え共鳴し大元の諸悪な根源に対し社会的な枠組み自体の壊滅に向かう相容れない同士の神々しいシンクロ感は物語性どうこうとかよりも普遍的な投げ掛けだから簡単に享受でき要は"愛"や"友情"を安っぽく描かず古典的なオフビートに乗せそれがやがて文明を越え勿論我々の身にも舞い降りる共鳴感は作品の意図を読み解く上で少なからず響き唸った。誰が観ても楽しめる題材を(特に後半部)メルヘン調なおとぎ話調に描かずむしろ最先端な現代社会の不明瞭な暗部に佇む違和感に鋭くメスを切り込む製作側の挑戦欲は評価に値すべきものだと観ていて感じました。

概要。アントワーヌ・ド・テグジュペリによる世界的な名作小説「星の王子様」の後日譚を長編アニメーション映画化。進学校を目指し勉強漬けの日々を過ごす少女と過去に不時着し砂漠で出会った"星の王子様"との思い出を語る老飛行士との交流を描く。監督は『カンフーパンダ(2008年)』のマーク・オズボーンが担当。また本作は第68回カンヌ国際映画祭で上映され批評家から数多くの支持を集めました。

では本作結論の部分を申せば,上述したいくつかの点や経験を積む事で誰しもが成長し大人になる単純故に万人に開かれた問い掛けは勿論,要はこういう事だと思う。(当初)主役少女の内面にのみ些細な希望のシンボル像とし存在した星の王子様が日々想いを寄せ経歴を追う事に憧れ(冒険心)が人生という不確かな道を切り開くと同時に輝かしき現実味を帯び星の王子様との位置関係でも憧れからいつしか合わせ鏡な(平行線上に佇む)鏡像関係な関係性に成り得る現実世界と古典文学の仮想世界が見事に共鳴し両者共まさに"現実的になる"妄想や妄念を脱ぎ捨て9歳少女が親に押し付けられた道を外れ己で自動的に突き進み人間的に成長を遂げる神話的な成長過程に少なからず醍醐味があったように思えた。主役の少女は母親の理想な娘像を価値観や生き方共に押し付けられ大切な時間は疎か分刻みで母親が計画した人生設計を仕向けられる。当然そのような毎日の生活を送り友達もおらず孤独な現代人特有の苦悩に苛まれる。彼女の転落しかけたその人生を救ったのが隣に住む風変わりな老飛行士であり1枚の紙飛行機を携えた手紙により人生の突破口が開く立脚点の部分もナチュラルで非常に呑めり込みやすかったですね。

あとネタばれを伏せ申しますが終盤の第三幕目でSF的な近未来に少女がある乗り物を駆使し旅立つ訳ですが,どう考えても操縦や着陸の不完全度が事故死レベルなんですね。それ以外にもその世界に佇む大人全員が猫背で下を向き目の下にクマを携える完璧にダークサイドに堕ちた闇の象徴としドッペルゲンガー風に整列しておりまあこの辺の細部を無視した大雑把感やあとその世界で誰一人子供が存在せず異質な存在として認知されてる説明も腑に落ちない点は同様に残る。アイツがビルの最上階で清掃員の仕事をする迄に落ちぶれた背景も出来れば絵的に観たかった感じです。主犯格の闘い方も陳腐感というか投げやりな攻防で処理される及第点の置き方に疑念は同様。あと缶詰め風な中身に5億個の星とか言われても数値が漠然的すぎて軽く見積もれないよという問題は観ていて感じた。要は細部を固め過ぎず矛盾点が目立つ構成は前半部が割と巧妙に美点が多いだけに残念な箇所が後半で目立つ悪因。

結局この映画内で1番重要視された台詞「秘密をひとつ教えてあげる。大切なことは、目に見えないんだ」がありこの問い掛けにANSERを下せば私的解釈で,現実的に見えないから目に見える身近な"今"を大切に懸命に生き抜くor心の目で大切なものを見た時,人はこの世の真理を掴む。序盤で「どんな大人になりたいか?」の面接質問で主人公は模範解答の答案をそのまま朗読し機械的な駄目人間のレッテルを面接官から貼られるが,生産性を求める生き方が消費的な自ら行動を起こし危険に突き進む価値観の推移も障害を通じ負荷を掛け物語的に絶妙。大人が奇妙なんではなく,子供たちが無表情な大人を見てあれこれ想像を抱く子供たちの方が奇妙という発想の展開次第でドンドン行動の幅が飛躍化してく感じも後半部は特に駆け足でもう少し時間を割き第三幕目は描いても良かった感があるが立派な感動譚としては既定路線をど真ん中で撃ち抜きクリアでしょう。最後に少女がワース学園でどのような生活を送り大人に成長を遂げたか名目が後日譚なんだからエクスキューズがあれば完璧でした。まあ欲を言えばキリがないので回想場面の王子の和紙感は哀愁漂い最高!星の住人が第三幕目で寓話的に登場する謎も説明が過不足かな。少女と老飛行士の性急な距離感の推移も。結果的には『星の王子様』童話に興味を持たれてる方or夜のレイトショーで観た方が感傷的な気持ちに浸れ相乗効果を発揮する作品なのかもしれません。観終わった直後より時間を置き徐々に深みを帯びる..実に幻想染みた映画でしたよ!名作が現実に接続され更に世代を越え"間に合った"本作を是非劇場でお勧めです!!