八木

夜に生きるの八木のレビュー・感想・評価

夜に生きる(2015年製作の映画)
1.9
ベン・アフレックが監督を、という理由で見たわけではないが、調べたら数作撮ってるらしく、それなりに評価もあるんでしょうか。とにかく、この映画についてはとても散漫な印象で、あんまり出来がいいように見えませんでした。何より、ベン・アフレックが凄腕マフィアに全く見えないのですよ。ベンアフさんって、顔が長くて体が巨大で目が細くて顔が長くて、朴訥おじさんには見えるのですが、多分この映画で表したかった人物像を演じられてなかったような気がします。「どんな人物か」って言われても、それが見ててようわからんかったから僕も困りました。「凄腕マフィアではない何か」って感じです。あしざまに書けば、ベン・アフレックのお誕生日会開催しとんのかい、というくらいベンアフさんに都合の良い画面が延々と続くのですね。プレイボーイにも冷徹な殺し屋にも頭が切れるインテリにも行動力と判断力に長けた人にも見えない。でもそのすべてであるかのように周囲が気を使ってもり立ててる変な映画です。
この映画は最終的に「父(親)と子」というところにフォーカスしてると思うのですが、ベンアフさんの演じる人物の立ち方が弱いせいで、この父子について発信されるメッセージも立ってないし、非常に弱いものになってます。
同じく、もしベンアフさんのキャラががっちり立っていたら、重要な役どころであるロレッタにシンパシーを感じているシーンなんかも本来ものすごく感動できると思います。無理でしたが。
禁酒法が適用されていた時代のアメリカを舞台にしているわけで、単純に教材として学べる点が多いのかというと、原作既読かある程度その時代のアメリカ文化教養がある人でないと、正直つらいです。よって僕のような低学歴さんはふるい落とされてしまいました(自己責任)。でも、どの年にどういう法律が適用されてて、その時代の大統領、その時代にあったKKKについてとかを脳内の引き出しにちゃんとしまえている人は多数派ではないような気がします。当時のアメリカのアイルランド系、イタリア系、スペイン系移民(だと思う)、カトリック、プロテスタントの立ち位置なんて、中々予備知識で入っている人少ないのでは。時代背景を反映してか、カーチェイスシーンにスピード感ゼロで、緊張感もゼロ。なんとかならんかったのか。
最後、「夜に生きる」という原作通りであり、とても格好いいタイトル(だと思う)なのに、『夜』を印象的に扱うシーンが全然ない。この部分はミエミエなくらいわかりやすく回収して痺れさせてほしかった。
ということで、あんま良いところがわからん映画でした。120分超えてるしよ。ベンアフ(書きたいだけ)さんの朴訥ゴーレム感を眺めたい人にお勧めです。
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