ぬーたん

夜に生きるのぬーたんのレビュー・感想・評価

夜に生きる(2015年製作の映画)
3.5
素敵なタイトルは原作本『夜に生きる』から。
作者はデニス・ルヘイン。
『ミスティック・リバー』『シャッター・アイランド』の作家。
監督・脚本・主演はベン・アフレック。
製作にはレオナルド・ディカプリオも名を連ねている。
禁酒法時代、となると過去の名作が多々あるので今更?とも思うが、この作品はギャングの抗争が中心ではない。
主人公ジョーの生き様を描くヒューマンストーリーだ。
アイリッシュ系白人のジョーと相棒はイタリア系。妻は黒人。
人種間の確執と争いは、白人至上主義のKKKに立ち向かう。
ギャングの抗争もあるし恋愛、宗教的な絡みもと盛りだくさん。

3人の女性が出て来る。
1人目は対立相手のボスの愛人でジョーの恋人、エマ。
シエナ・ミラーが演じた。
悪女をラストまで気合の入った演技で。
2人目は警察本部長の娘ロレッタ。
エル・ファニング。
ダコタの妹で姉妹揃って可愛く、子役時代から活躍。
今作は難しい役で教祖のような役。
3人目はジョーの妻グラシエラ。
ゾーイ・ソルダナが演じた。
『アバター』で有名になり近年は出演作品数も多い。
綺麗でスタイルも良い。

ジョーの父親をブレンダン・グリーソン。
厳しいが、息子への愛情がこもったエピソードにホロリ。親はみんな同じだ。
威厳ある役にぴったりの風格。
警察本部長アーヴィングをクリス・クーパー。
娘への愛情の深さ。ギャングとの馴れ合い。
さすがの演技に最後まで釘付け。
いぶし銀のオジサマたち。
未公開シーンにイーストウッドの息子スコット・イーストウッドの名前があり、気になる!名前からしてジョーの兄役と思うが観たかったなあ。何故にボツに?

オープニングから惹き付けられる。
そこからの地味なタイトル表示。
カメラや景色、色彩、小道具、音楽と全てお洒落。
クラシックな車での逃走劇。
湖面の炎上する車のオレンジ。
その後の湖面の美しい夕日のオレンジとの対比。
グラスの中の血。割れるグラス。
ただ。スタイリッシュに作っているのは良いが、ちょっとそちらに行き過ぎた。
内容的に詰め込み過ぎで、全てが中途半端な感じ。
ジョーが警察官の父に反発してギャングになったいきさつも今一つ納得できないし、悪という感じが出し切れていない、ベン・アフレックの演技。
いっそのこと、製作・監督に集中し、弟やマットにでも主役をさせたら良かったかも?
表情や喋り方が冷静過ぎて、でも冷酷という印象もなく、善人という感じ。中途半端なキャラで人間的に好きになれなかった。
感情移入が出来なかったのが残念。

ラストも終わりと思うとまた先が。
更にまた先が。
というぶち切れた感じがして蛇足部分が多かったかな。
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