イチロヲ

天使のはらわた 赤い眩暈のイチロヲのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い眩暈(1988年製作の映画)
3.5
強姦未遂と失恋の痛手により自己喪失状態に陥っている看護婦(桂木麻也子)が、人生をふいにした証券マン(竹中直人)と一緒に、当てのない逃避行を繰り広げる。原作者本人がメガホンを取っている、日活ロマンポルノ。石井隆原作の人気シリーズ第5弾。

女性映画としての側面が機能していた過去作に比べ、本作では男性視点が強固になっている。また、登場人物の独り言(心情吐露)が過多であり、開始50分あたりで「これまでのまとめ」を説明してくれる。

映像面では、フィルター処理により常時青みがかっているのが見て取れる。湿っぽい雰囲気が強調されており、良く言うとノワール調、悪く言うと抑揚のない映像。個人的には嫌いではないが、ラブホテル内部まで屋外と同じようになるのは違和感がある。

主人公カップルの切羽詰まった雰囲気を、もっと過剰に描写してくれたほうが感情移入できたような気がする。唯一、共感できたのは「電話のない場所に安心感を覚える」という部分ぐらい。
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