kou

プロミスト・ランドのkouのレビュー・感想・評価

プロミスト・ランド(2012年製作の映画)
3.0
《結論のない環境問題》
ガス・ヴァン・サント作品を何本か最近見ているのだが、そのフィルモグラフィの中でも、とても不思議な映画だと思った。マット・デイモンとジョン・クラシンスキーが脚本を務めていて、俳優による脚本はグッド・ウィル・ハンティングを思わせる。

この映画のとても特殊なところは、最後の最後までシェールガスによる環境への影響について、はっきりとしたところがわからないという所だ。そこは現実に沿って、はっきりと「わからない」という描き方をしている。

主人公はシェールガスの開発をすすめる側の人間として働き、そこに問題はないという触れ込みで動く。そこに環境問題への啓蒙をする人物が現れることから、本当に自分の進めている開発は問題ないのかと考え始める。このシェールガスの問題が現在進行系であることから、映画の結論がとても婉曲的になっている。「はっきりと言えないが、リスクは犯すべきではないかもしれない」という、仕方ない結論はとてもフェアかもしれないが、色々な所に配慮をした印象を持った。

ガス・ヴァン・サントならではの一歩引いた絵作りというのも健在であり、風景の切り取り方も流石だ。田舎のアメリカを描かせたらやはり秀逸だ。テーマの複雑さから、良い面も悪い面も描いているのは中立的でフェアで、観客へ問を投げかけるような映画に仕上がりながらも、なんだか煮え切らない感覚があったが、監督らしい一面でもあると思う。
kou

kou