カタパルトスープレックス

楽園の瑕 終極版のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

楽園の瑕 終極版(2008年製作の映画)
3.3
この作品が成功していたら、『恋する惑星』(1994年)もなかったし、ウォン・カーウェイ監督は全く違う評価を獲得していたんだろうなと思える作品です。

長編二作目『欲望の翼』(1990年)で撮影監督クリストファー・ドイルとタッグを組んで独自の作風を掴んだウォン・カーウェイ監督が挑戦したのが中華圏では大人気の金庸の武侠小説『射鵰英雄伝』でした。しかし、この撮影はなかなか進まない。仕方なくプロデューサーのジェフ・ラウが同じスタッフ・キャストを使ってわずか8日間で完成させて大ヒットしたのが『大英雄』(1993年)ですし、撮影中断中にやはり即興的に作られたのが『恋する惑星』(1994年)でした。本作が大コケして、そこから派生した二作品がヒットするというのも皮肉な話です。

本作は武侠小説を題材としたアクション要素の多い映画ではあるのですが、流れるテーマはウォン・カーウェイ監督らしい「すれ違いによる孤独感」です。それがクリストファー・ドイル特有の映像美で描かれる。構想としては悪くない気がしますよね。ボクもそれほど悪くはないと思います。ただ、やっぱり地味なんだよなあ。