Jin

フランシス・ハのJinのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
3.5
“特別な存在だと、自分も相手もわかってる。でも、そこはパーティー。お互い別の人と話してる。笑って、楽しんで。
ふと、部屋の端と端で目が合う。
嫉妬でも、性的な引力のせいでもない。
相手がこの人生での運命の人だから。”



27歳のアラサー見習いダンサー女子、ちょっと変わったフランシスが、うまくいかない人生の中で居場所を探す白黒映画。


最近流行りの、「なにも起こらない物語」。1人の人の劇的でない人生をただただ映し続ける。


親友、仕事、恋愛、お金…
青春映画だが、大人であることからは逃げられない現実味が面白い。
ただの明るい少女が自分探しする話じゃなくて、明るいアラサー女子が自分探ししながら現実の壁にぶち当たり、現実的選択を迫られる物語。

“ちょっとずれてるよね”
って自分で言っちゃうけど、本当にずれてて面白い。しかもそれがわざと感なく、大げさでもなく、「こんな奴いそう」なずれ具合。
アラサーなのに、妊娠とか現実味ないわぁって言っちゃう感じ。

大雑把で「せわしない」フランシスの性格もいいし、そこから生まれる周りの人々との笑える会話も面白い。
走って踊って笑って、全部を明るく乗り越えていくけど、乗り越えられない感じ。


短いから観やすいし、
なにも起こらなくても、音楽がいい。
街中走ったり、っていうだけでもジョルジュドルリュの音楽とか流れるからかっこいい。

白黒映画って食わず嫌いだったけど、これはむしろスタイリッシュでかっこよかった。



タイトルの付け方がオシャレでよかった。
「フランシス ha ha!」みたいなとこにも掛かってるのかな。


アダムドライバーってこんなのにも出てるのか…
Jin

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