さよなら僕のマクガフィンたち

フランシス・ハのさよなら僕のマクガフィンたちのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
3.8
僕が20代の女性なら、この映画を人生のバイブルだと思っただろう。
僕が60以上の映画オタクなら、トリュフォーなどの映画オマージュに数多く気づき、ノア・バームバックという新たな才能の登場に歓喜していただろう。(例えばATMを探して走るシーンは、トリュフォーの『大人は判ってくれない』の場面を意識している)

この映画は安易な着地を許さない。ベンジーとの間には男女のあれこれは無いし、ソフィーとの間に女の友情のカタルシスはない。
それでも、劇中フランシスに起こる数々の災難を弾く映画の強さがあり、いや、フランシスの強さがあり、もしかしたらグレタ・ガーウィグの強さと魅力がある。着地は想像とは少し違うのかもしれないが、小さいが前を向いた一歩である。
グレタ演じるフランシスがとてもチャーミングだし、バックに流れるデヴィットボウイの『モダンラヴ』との相性もいいし、白黒は想像以上に鮮やかだ。
少し収まりきらなくても堂々としているラストがとても良い。元気が出るのだ。