ひこくろ

監視者たちのひこくろのレビュー・感想・評価

監視者たち(2013年製作の映画)
4.4
とことんまで娯楽に徹したスリリングで爽快なエンタメ大作だった。

まず冒頭、タイトルが出てくるまでの20分間で、謎めかせつつ一気に「監視班」と「犯人グループ」のどちらもの様子を描き出してしまうのが上手い。
この時点で、二組がいつどうやって絡み合うのかの期待が募り、早くも心を持っていかれた。

そこからも、監視班と犯人グループの様子はほぼ同じくらいの割合いで交互に描かれる。
監視班は緊張感はありつつもどこかほんわかともしていて、それが冷徹で残酷なリーダー率いる犯人グループと対照的なのがいい。

正体の見えない相手を、監視することで見つけだす、という、見るだけに特化した監視班の仕事内容も絶妙に効いている。
監視班は相手をなかなか見つけられない。一方で、相手は監視班の存在に気づかない。
この関係の中、犯人グループの計画が着々と進んでいくのに興奮させられる。

あとはやっぱり登場人物たちの魅力だろう。
ハン・ヒョジュ演じる、才能があるのにちょっとだけドジな新人「子豚」の真っ直ぐな可愛らしさ。
班長役のソル・ギョングが見せる、なんとも言えないユニークな感じ。
この二人の関係が、上司と部下にも、師弟にも、親子にも見えてじつにいい。
犯人側ではチョン・ウソン演じるリーダー「影」が際立っている。

テンポも非常によく、ハラハラドキドキする展開も満載。
派手なアクションシーンもあれば、心理戦のようなシーンもある。
ユーモアもあちこちに散りばめられ、クライマックスもきっちりと盛り上げてくれる。
理想的なエンタメ大作、と言いたくなるぐらいに観ていて気持ちがいい。
あんまりいろいろと考えずに、そのまんまを楽しめるいい映画だった。
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