アメリカの写真家モリス・エンゲルが写真家仲間と撮ったインディペンデントの先駆作。後のヌーヴェル・ヴァーグ監督やジョン・カサヴェデス「アメリカの影」(1959)に大きな影響を与えた一本。
ニューヨークのブルックリン。レニー(12歳)とジョーイ(7歳)の兄弟は、シングルマザーの母親が祖母の看病で里帰りするため留守番をすることに。兄が悪戯でジョーイのライフルで撃たれて死んだふりをすると、すっかり信じたジョーイは家出をして列車に乗り娯楽地コニーアイランドに辿り着く。。。
遊園地や海水浴場の群衆の中で一人さ迷いながら遊ぶ男の子の姿を、手持ちカメラと即興演出で生き生きととらえていた。一応の起承転結はあるが物語としてはたわいないもので、本作の主軸は“少年期の世界”をドキュメンタリックに写し取ることにあったと思う。また、1950年代初頭のコニー・アイランドがくまなく記録された風景映画としても貴重である。
本作にメルヘン性を加えたら仏映画の「赤い風船」(1956)、田舎を舞台にしたらジャック・ロジェ監督「十代の夏/新学期」(1956)、主人公を若者にしたら同じくロジエ監督「アデュー・フィリピーヌ」(1962)へと発展するだろう。いずれにせよ本作は当時のハリウッドとはかけはなれた映画史的にも特別な一本と言える。
それにしても、カメラマンが監督した子供映画の画力は強い。名カメラマン、テッド・テズラフが監督した「窓」(1949)を思い出した。