スパイダーマックス

ウォーリアーのスパイダーマックスのレビュー・感想・評価

ウォーリアー(2011年製作の映画)
4.4
Listen To The Beethoven!!!!


格闘技映画で一番好きな映画かもって位大好き!!何回見てもメチャクチャ面白い!
幼い頃に生き別れとなった兄弟が、大人になって格闘技大会「スパルタ」で激突する事になるというお話なのですが
兄弟のお話だけでなく、二人の関係の中心にある「父」という存在がさらにドラマ性を高めており、
格闘技ドラマとしても、家族愛のヒューマンドラマとしても非常に面白い、文句無しの大傑作だと思います!

お話自体は凄く単純だし、格闘技シーンは臨場感たっぷりで音楽もアゲアゲだしで
観てるこちら側をドップリと映画世界に浸からせてくれます。


映画って好みもあるから人に勧めるのが難しくもあるけど、
この「ウォーリアー」に関しては老若男女問わず万人にお勧め出来る映画です!



主演はトム・ハーディとジョエル・エドガートン。

トム・ハーディ演じる弟のトミー・コンロンはある夜、且つて母と共に逃げ出したアルコール依存症の父のいる家に10数年ぶりに戻ってきます。その理由はアメリカで開催される優勝賞金500万ドルをかけた総合格闘技トーナメント「スパルタ」に出場し優勝する為、レスリングのコーチをしていた父に再度自分のコーチをするように依頼をしに来たのでした。

ジョエル・エドガートン演じる兄のブレンダン・コンロンは教師をやる傍ら、心臓病にかかった娘の治療費で金銭難になり、数ヶ月後には銀行から家を差押えられてしまう状態の為、場末の格闘技大会に出場しお金を稼いでいました。(昔、格闘技の選手をやっていたようです)
しかし、それが学校にバレてしまい教師の仕事は停職に。このままでは家を失ってしまう。そんな矢先に降って湧いたスパルタ出場へのチャンス。彼は昔、自分のトレーナーをしていた親友に頼み込みトレーニングを開始します。


兄と弟はそれぞれの理由でスパルタの優勝を目指し、10数年ぶりに再会を果たすと、このシチュエーションだけでもだいぶアガる設定なのですが、先述したように、ここに二人の父であるバディ・コンロンが入ることで物語に一層深みが増すんです。

父 バディ・コンロンは酒を飲んでは家族に暴力を振るっていた過去があり、今では二人の息子との関係は冷え冷えで孤独な人生を送っています。劇中、犯した過ちを悔い、酒を一切絶っていると二人の息子にそれぞれ話しますが、全く取り合ってもらえません。

自業自得とわかっているので、息子達から言い返されるとただ引き下がるしかない父。
ある意味、この情けない姿も息子達からすればより苛立ちを募らせるのかもしれません。
今更そんな風に改心したって、もう遅いだろっていう。まだ昔のままの粗暴な父の方が
憎むだけでいいから楽なのにって感じがするんですよね。

そして兄と弟も、スパルタの前夜10数年ぶりに再会した時、互いに抱えていた相手に対する感情を曝け出します。
弟からすれば、「なぜ父から逃げ出した時、自分と母と一緒に来なかったのか。」
兄からすれば、「母が亡くなった事を何で教えなかったのか、葬式も知らせずにいるなんて。」
それぞれにこの十数年溜め込んだ想いがあると。
そして話し合いでは到底埒も開かないとなれば、決着は一つしかないですよね。
こういった”罪”と”贖い”、そして”赦し”というのも本作における重要なキーワードかと思います。

最強の男達が集まる大会で果たして彼らはどこまで勝ち上がれるのか。
父と2人の子供達はどのような結末を迎えるのか
観てもらうのが一番なので、詳しいことはもちろん避けますが
この映画で僕が特にいいなと思ったのは二人の格闘スタイルです。
二人の戦い方の違いがそれぞれのキャラクター性とリンクしているのがとても面白い。

弟はとにかく打撃系。一撃で相手をノックアウトする野獣のような男で且つて酒を飲んでは酔って暴れていた父のように、怒りと暴力でリングを支配します。

それに対して兄は関節技を駆使して戦います。どれだけ相手が強大で、劣勢な立場に立たされても、耐えに耐えて相手の一瞬の隙を突いて寝技から関節技を決める。且つて父からコーチを受けたレスリングの経験が活かされているように。

つまり父が持っていた二面性が二人の息子に分かれているように見えるのです。これが僕的にはかなりツボに入りまして。
しかも、レスリングの才能においては兄のブレンダンより弟のトミーの方があったようなんですね。父も弟にこそ期待をして鍛えていたと。
しかし皮肉にも、弟は父の元を去り、兄は父の元に残った形となってしまったと。


トーナメント形式なので、途中の試合はダイジェストで進むんですが、
そこら辺も音楽の盛り上がりと編集の気持ちよさで観てる方はもうアガるアガる!



ーーーー以下、ネタバレ部分があるので注意!!ーーーーー



しかも、ブレンダンの場合、一介の教師が並みいる格闘家達を下馬評を覆して倒していくから
もう、周りの観客や実況、ブレンダンの奥さん、教え子や職場の上司などがそれを見て
「キャー!!!」「ウオー!!!」と盛り上がるシーンを映すのでこっちもブレンダンが勝つと思わず「ヨッシャー!!!」となってボルテージがグワ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!っと上がっていくのが気持ちよくって最高なんです!
特に、トーナメント序盤にブレンダンの奥さんがテレビで応援してて旦那が勝った時のリアクションがもう可愛くって可愛いくって。

ヒーロー映画でも言える事ですけど、やっぱり観衆が主人公の偉業などを目撃してリアクションする場面ていうのはいいですねー、僕はもうこういうシーン大好物です!

てな感じでスパルタが始まってからはもう、熱くない場面がない!

ブレンダンの対戦相手に一人が人類最強と謳われている優勝候補筆頭の男で
もう体がデカくてとにかく強そう!!こんなん勝てるかい!!!っていう相手なのですが、この圧倒的に強大な存在である対戦相手はある意味、ブレンダンにとっては幼き日の父のメタファーのように僕には感じられました。

そして、決勝戦。

相対する二人のファイトスタイルの違いがここで更にドラマを引き立てます。そして決着の決め手となった技、まるで抱きしめているようで非常に感動的なシーンになっていて・・・・・・・何だかまた観たくなってきました!!

前半は主人公達のキャラクターや背景をしっかりと掘り下げて、
後半は貯めに貯めたカタルシスを試合の熱狂と共に解放するという
格闘技映画のテンプレな展開ではあるけれど、
非常にうまく、隙がない作りの映画になっております。
スパルタ直前のトレーニングのシーンも良くって、何だか力を充電してるように見えるんです。この地獄のトレーニングで体にパワーを貯めて貯めて試合でブワーッと解放するという。


とにかく文句の付け所が無いといった感じで
僕はメチャクチャ大好きな映画です。

もし、見た事ないのであれば、絶対に面白さは保証するので
見てみてはいかがでしょうか!!!

オススメです!!

PS. トム・ハーディの筋肉、特に僧帽筋の盛り上がりが凄いです!!コブになってます!!僧帽筋フェチな方は必見です!