広島カップ

マスター・アンド・コマンダーの広島カップのレビュー・感想・評価

3.5
“男の生きる道“と“生命力“というテーマに関心のある監督さんは、一度は帆船の映画を撮ってみたくなるのではないでしょうか。

今年公開された『白鯨との闘い』や『白い嵐』などの映画は、そのテーマに対して真っ直ぐに追い風が吹いています。

黒澤明も撮ってみたかったのでは?とも思いました。
何となく作品から黒澤の匂いがしたものですから。

時代は19世紀初頭、ナポレオンが勢いに乗っていた頃。
イギリス海軍の帆船サプライズ号は、フランスの私掠船アケロン号を拿捕するべく太平洋を航海をしていました。
両船の砲弾による戦闘シーンも迫力充分です。戦闘能力はアケロン号が遥かに上位ですが、サプライズ号も知略を巡らせて戦います。

サプライズ号の海尉艦長(マスター・アンド・コマンダー)、要は船長さんをラッセル・クロウが演じています。
『白鯨・・・』のクリス・ヘムズワースもそうでしたが、“声“で選んだのではないかという気がするほど惚れ惚れする“海の男声“です。
荒くれの男どもをまとめるわけですから声量と声質はとても重要です。遠くまで届かなそうな声のイーストウッドなんかには、ちょっと務まりません(笑)

サプライズ号に少年も乗っていたのにはビックリです。これは当時普通のことだったそうで勉強になりました。
猛者どもに囲まれて少年達は真の海の男に鍛え上げられていきます。
その中に戦闘で片腕を失ってしまう少年が出て来ますが、思わず静かに見守ってしまいました。

サプライズ号に軍医(ポール・ベタニー)が一人乗船していて、彼が自らの腹部に残った銃弾を取り出すためセルフオペレーション(自己手術)をする場面があり、“ブラックジャック“を連想してしまいました。

この映画には全力で生きる男達が沢山詰まっています。
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