Azuという名のブシェミ夫人

エレクトリック・チルドレンのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

3.9
田舎の閉鎖的な宗教コミニュティで育った少女レイチェル。
15歳の誕生日に青いカセットテープを見つけると、そこから流れてきたのは“禁断”のロックミュージック。
陶酔するように“神の声”に聴き入った後日、驚いたことにレイチェルは妊娠していた。
処女懐胎・・・彼女は探すことにした。
奇跡の子を授けた聖なる声の持ち主を。

・・・え!?え????何だそりゃっていうあらすじですが、もうこの通りです。
どんなイカれたカルト映画かと思ったら、とっても雰囲気のある優しく柔らかい世界観。
自然溢れる草原から逃げだした素朴で純粋な少女が、神の言葉を思いながら不釣り合いなネオンの街ラスベガスを放浪する。
始まりからはガラリと色を変えるその画が素敵で、あぁ・・・これは好きな映画だって思った。
撮影監督のセンスかなぁ・・・映像が好み♡
すごく面白かったーっていうのでは全然ない。
ただ、好きだなぁってポーッとなる。
そんな不思議な浮遊感を身体に残したまま、アッサリ通り過ぎていきました。

表面上は音楽に恋し、そのボーカリストを求めるグルーピーのロードムービーのようになっていて、その実追い求める理由というのがまさかの神への信心から来るものであるというのが面白い。
でも妊娠自体は・・・たぶんあのコミニュティが・・・。

レイチェルを演じるジュリア・ガーナーがとっても透明感あって、天使みたいに可愛くて一目惚れ♡
妹を妊娠させたと誤解されてしまう兄リーアム・エイケンもベン・ウィショーみたいな柔らかい雰囲気が好印象。
そして彼らが出会うバンドマンの男の子、ロリー・カルキン君!
個性的な顔立ちだけど、妙に愛おしくなるナイスキャラを演じていて魅力的でした。

赤い赤いマスタングに魅せられて、青いカセットテープの気持ちを浮つかせる音楽に身体を揺らしてるうちに、いつの間にやら知らない世界に迷い込んでいる。
白いウサギを追いかけて行った少女みたいに。
その世界の真相が、いつも少女にとって楽しい夢であるとは限らないのだけれど。
でもね、そんなこともう何だって構わない。