『怪盗グルー』シリーズに登場するミニオンを主人公に据えたスピンオフ映画。グルーと出会う前の話であり、ミニオンズの謎が描かれた物語。
ミニオンズは本当にかわいい。
コミカルにちょこちょこと動き回る姿を観ているだけで笑って癒される。
ただ本作は、そこ以外に良さを感じない作品で残念。
これ90分じゃなくてもっと短いほうがまだ良かった。ミニオンズはかわいいけど、思考や行動は単純だから深みが出せない。これは本作だけに限らず、本編シリーズでも同じ。だからマスコットキャラとしての立ち位置にとどまっているわけで。『怪盗グルー』シリーズの良さは、主人公であるグルーの成長物語で。大悪党のグルーが愛を知り、変わってゆく姿に感動がある。ミニオンズはそれを盛り上げるキャラにすぎない。
本作にはそのグルーがいない。かといってミニオンズの成長物語でもない。愛らしいミニオンズのドタバタ劇が繰り広げられるだけだ。だから中身がない。
グルーの変わりを配置すれば良かったのだが、本編と同じことをしたくなかったのか、本作にはその要素はない。グルーの代わりになる悪党は登場するが、ただの悪党でしかない。グルーとの違いをそこで出したかったのだろう。グルーと出会うことでミニオンズは救われる。確かにそうだ。本作により、本編の良さは引き立てられる。ただそのせいで本作は本編には敵わないスピンオフ作品となってしまった。ミニオンズ好きな自分でも90分の鑑賞は退屈だった。
ストーリー以外でいえばミニオンズの魅力はしっかり出せている。絵は美麗だし、ミニオンズはもちろんそれ以外のキャラも愛らしい。悪党もクセのあるキャラでインパクトはあった。
過去の話と強調するために、時事ネタがふんだんに盛り込まれているのは楽しめた。イギリスがメインの舞台なので、英国好きにはたまらない描写も多い。エリザベス女王の描き方あんなんで大丈夫なのかなとは思ったけど(笑)。
ちょっと期待しすぎたな。
ミニオンズを主役にするならショートムービーがちょうどよい。
