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シャークネードのpikaのレビュー・感想・評価

シャークネード(2013年製作の映画)
3.0
予算の都合上映せないものが多すぎて役者や対象物をアップで撮るしかなく、それだと間が保たないからかカットの切り替わりも非常にせわしなく、めちゃくちゃ見づらい。何がどうなっているのかがわかりにくい。
全体像を見せられない、見せてもらえない不満がある種の渇望となり、見えない部分をこちらで勝手に補完しようと想像力を刺激される。
本物の災害映像やニュース映像を使って編集で繋げようと苦心しているところや低予算ながらもこんな大規模なディザスター描写を見せようとする気概が良い。
説得力云々は完全に破綻していて絶対におかしいんだけど、どう繋げて見せるのか期待する楽しさがあったりで最後まで目が離せない笑。
合成やCG丸出しだったり繋がらないカットをむりやり繋げているところは、それしかないからと迫られた手段であるのにモンタージュとは映画とはといった根本的な問いを浮かび上がらせる。
ドラマに没頭させるために作っているはずなのに作り手の思惑をこちらが補完し続けなければ見ていられないということは作り手と観客のある種の共犯関係を生み出しているように思う。
映画のキャラクター以外の人物は普通の生活をしていたり、晴れたり小雨だったり大嵐だったりカットが変わると天候や明るさも変化し続けていて、この世界は彼らの他に誰もいないのかと思うような違和感や不自然な状況も都合の良い方へ意図を拾い続ける。
制作の手が入っている役者たちはすげー真剣で危機迫っている感じなのに手が入っていない背景は平穏無事な状態である、その温度差に笑ってしまう。天然のシュールレアリスムとも言えるか。
狙っているのかいないのかもわからないところが凄くいい。
技術力より情熱先行で作ってしまった学生作品のような、ただ既存映画のあるあるを自分たちでも真似してみたいと作ってる瞬間が一番楽しいとばかりなキラキラした何かが画面から溢れている。展開的にも破綻しているのにわざとなのかマジなのかわからない、新鮮な面白さがある。
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