きり

リトル・フォレスト 夏・秋のきりのレビュー・感想・評価

4.6
とても素朴で、美しく、したたかなドラマでした。


自然と付き合って生きること、食事と向き合うこと、自分の言葉に責任をもつことーーそれらを何度でも教えてくれる、とある集落で暮らす女の子の日常を描いた作品です。何か事件が起こったりはしません。ただ作中のセリフやシーンは胸に迫るものが多く、色々と考えさせられました。

調理シーンや食事に惹かれて見始めたのですが、主演の橋本愛さんの独特な雰囲気が印象的でした。話し方も表情も静か。無感情ではないけれど、とても静かで。

個人的に、誰かと食事を一緒にする時、笑顔で美味しそうに料理を口へ運ぶところを見るのが好きなのですが。
別に笑顔じゃなくても、大袈裟な声がなくても。味わっていると分かる表情があることや、会話がなくとも寂しさを感じない食卓というものを、この作品で初めて知りました。食事を摂るひと、全員にぜひ観て欲しいです。
今回は一人でじっくりと観たけれど、次は肩の力を抜いて誰かと話しながら観るのもいいかもしれないな、と思いました。


音楽もインテリアも素朴で素敵で、さまざまな観点から楽しんで観られる見応え抜群の映像作品でもあります。
きり

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