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リトル・フォレスト 冬・春のplantseedsのレビュー・感想・評価

4.5
『いち子の出した答えとは』

リトルフォレスト完結編。
堪能させていただきました!
また、自分のライブラリーに加えたい作品が増えました。
いや~、楽しいですね!

いち子は正直なくなく、地元に帰ってきているのは事実。
正直、あまりよくない感じが漂うのはあります。

このいち子の境遇が、狙ったわけではありませんが、
まったく、今の自分の境遇と似ていて。
同じところをぐるぐると、たださまよっているようで。
いくらも、前進している気はしなくて。

こうやって、虚構であるはずの物語上の人生と、
現実の人生がリンクすることが、創作物を見ているとありますよね。
こういう何とも言えない出会い。
これがただの娯楽に収まりきらない、芸術としての映画の魅力ですね。

ユウ太が「逃げているんじゃないの」と、
言ったのは確かに事実だし。
いち子にとってはかなり、痛い言葉であり、真実だったでしょう。

しかし、果たして、いち子の帰郷の選択が全くの無駄であったのかどうかは分からないし、むしろ探してみれば、豊かな時間だったという部分は多くあるはず。
一概に一蹴はできない。

遠藤周作さんのエッセイを読んでいてあった言葉なのですが
「絶対ということはない」
正確かはわからないですが、こんなことが書いてありました。
自分に深く届いた言葉です。

「絶対にこうだ、正しい」と思っていることは、
自分がそういう風に思い込んでいるに過ぎなくて、
物事に絶対的な解釈はないと、常々思っています。
見る角度を変えてみれば、物事の持つ意味合いや、色はいかようにも変わりますよね。

いい意味で気が楽になるといいますか、
「絶対的な正解」というものはない。
なのだから、いい意味で日々の選択を楽しもうと、最近は思ったりしています。
だから選ぶものは、どれも「正解」なんじゃないのかと思ったり。
当たり前ですが、こう思ってから迷うことが減りました。

だから、いち子が田舎に帰ったのも「正解」だし、
最終的に下した決断も「正解」なのではないですかね。
境遇の似ている自分を肯定したい感も正直ありますが、
どんな選択も「正解」にしていけるように生きていきたいし、
いろんなことをその中で学び、楽しんでいきたいです。

素晴らしい作品でした。
いや~、染みた!
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