三畳

リトル・フォレスト 冬・春の三畳のレビュー・感想・評価

4.8
この主人公、最高にかっこいい!
珍しく怒りながら心の中で悪態をついてる時
「私は全部一人でやっているんだから!」って
そうやって強くなってきたんだなと思った
ちょっと理屈っぽく一度遠回りな決断をするところも大好きだ!

画面からミストが溢れてくるように何度も湿度が強調された夏編、サラサラこすれる葉が一気に色づいた秋編から、どっしり雪が全てを重たく覆う冬編。

どの季節にも細やかな工夫があって、忍耐と実りがあって、美味しい楽しみ方があって、命のパワフルさはこんな静けさの中に育まれるんだと思う。

私の周りの騒がしくも空虚さがある都会との違いはなんだろうとか
前編でのユウタの台詞"自分で体験して感じたことを語れ、他人の作ったもの流してるだけで偉そうにすんな"について
やっぱりまだ考えていた。

この映画に出てくる人たちは謙虚そうに見える。
謙虚でありたい、卑屈にならないバランスが難しい。
自分で作って生きているという自負・自信があって、その難しさを知ってるから隣人へもリスペクトがある。
おかずやおやつを持ち寄り、知恵をシェアし、感謝し合う。

ネットで仕入れた情報ばかりで自分を構成していると、どこまでが自分かわからなくなる。他人の経験談、レビューを判断基準にして、もらいもの拾い物ばかりのくせに、図々しい勘違いババァになる。

そしてたまに気付く、自分で得た知識がいくつある?大切な人がもし困っていたら、自分の言葉でアドバイスできることがある?いざって時に検索ができなくなったら山で食べれる葉っぱも知らない、薪も割ったことない、私なんか絶対一人で生きられないではないか・・・

ってちょっと飛躍してるけど、そんなことを思った映画だった。

人の悪口を言ってたキッコが、"人のずるいところに目が行くのは、自分の中にも同じずるさがあるからだ!みっともない"ってじいさんに怒られるシーンも良かった。

橋本愛さん、実は街で偶然お見かけして声をかけたことがある。
2014年に新橋ロマン劇場が閉館する日、最終上映を観に行った。外に出て、名残惜しむ一般人たちの中で。
橋本愛さんは日活映画好きで新橋ロマン劇場に通いつめてたのは有名。
私の連れが最初に気付いて、桐島部活良かったですと言ったら、ありがとうございますと…気配を消してるのが謙虚そうで少し仄暗い空気をまとったきれいな人だったなあ。
三畳

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