厳しい冬の寒さも、夏のうだるような暑さも、人間にとっては煩わしいけど、農作物にとっては欠かせない。
色とりどりの食材たちは、全て四季が運んできてくれる。
季節ごとに農作物を育てて、収穫して食べるの繰り返し。
それをずっと続けていく覚悟が、里山で暮らすことなのだと分かる。
一見同じサイクルで生きているようだけど、毎年違う季節の表情があって、時に恩恵を受け、時には振り回されて生きていかないと行けない。
いち子にとっては小森での生活は居心地がよく、かといって根を張る覚悟はなく、故にいつまでも踏ん切りがつかず、ズルズル迷いを抱えたまま生きてしまう場所だった。
でも、自分の心がどうであっても自然は待ってくれない。
日々を生活しながらも、ここでこのまま生きていくことに迷っているいち子に自分を重ねて見ていました。
都会でうまく生活できなかったから、実家のある田舎で暮らせばいいと思うのと、都会でも生活できる力をつけた上で、田舎での生活を選ぶことは違う。
田舎は逃げ道では無くて、胸を張って生きるところなのだと気付かされた。
時々このままでいいのかと考えてしまう自分と比べて、ちゃんと行動して決めたいち子の姿は何よりも格好良かった。
あと、キッコのおじいちゃんの人の意地悪な部分が気になるのは、自分にも同じような部分があるからだという言葉、凄くハッとさせられました。
初回鑑賞2020/7/5