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アマデウスのyuuuumiのレビュー・感想・評価

アマデウス(1984年製作の映画)
4.8
自殺するまでに追い込まれた老人サリエリが語るモーツァルトの生涯を描いた作品。
劇中流れるクラシック曲だけでも厳かな気分になれる素晴らしい作品。

私もピアノはバイエルから始まり、長い長い道のりを歩いてきましたが、この天才ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトの才能を味わうレベルには全く至っていません。

モーツァルトが音を奏でると、言葉で例える主語・動詞だけの単語に形容詞・形容動詞・助詞・助動詞・補助動詞などがどんどん肉付けされていくようで、それらの音が複雑に繊細に混ざり、壮大なオーケストラになって響いてくる。

サリエリにとってモーツァルトの存在は偉大で、彼がどれだけ努力しても追い付きすらしない愛すべき存在で、同時にその才能が羨ましくて憎くてたまらない存在でもある。

モーツァルトの奏でる音符は五線譜の中で踊る至上の美。音が勝手に導いていくってこんな感じなんだろうなと思わせられる。そして自分が何も持っていないと痛感させられる存在でもある。

モーツァルトの才能は初めからそこにあるのが当然で、だけど彼には自分を律する能力が欠けていた為に生活能力が一切なく、その事が破滅へと向かっていく様子が悲劇でした。

モーツァルトは一度曲を聴いただけで音を再現できる天才で、彼の生い立ちは人生の大半を占める演奏旅行で様々なジャンルの音楽と出会い、創作活動にも影響を与えたと言われていて、彼の生きた時代に存在するマリー・アントワネットとの逸話も物語に登場したりと時代背景もとても興味深いです。

様々な賞を獲得した事が納得できるこの作品から、サリエリの絶望と苦悩がとても伝わってきた素晴らしい作品でした。
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