くわまんG

アマデウスのくわまんGのレビュー・感想・評価

アマデウス(1984年製作の映画)
4.0
大作ですねぇ。傑作や名作というより、大作って感じです。

見所:
大胆でドラマチックな脚色
信仰の意義をそれとなく
サスペンス調で緊張感持続
鑑賞後世界史に興味が出る
モーツァルトが良い人過ぎる
晩年の時間配分がやや長い

あらすじ(ネタバレ有):
18世紀終盤。神聖ローマ帝国で栄華を誇ったハプスブルグ家の象徴、マリア・テレジア。その長男にしてマリー・アントワネットの兄、ヨーゼフ二世が治めるウィーンこそは音楽の都。欧州各地から選りすぐりの才能が集まる。
宮廷楽長サリエリもかつてその一人だった。イタリアの片田舎から研鑽と犠牲を積み重ね、今や陛下のお気に入り。そんな彼の耳に、巷で話題の若手モーツァルトの噂が入る。品定めするつもりで演奏会に出向いたが、そこで出会ったのは人生の根幹を揺るがすような珠玉の楽曲と、それを奏でる下品なクソガキだった。
宮廷楽長にまで登り詰めたサリエリとて傑物。誰よりもモーツァルトの作品を愛し、称賛した。だのに自身にかけた呪いのせいで祝福できず、代わりに抱いたのは嫉妬、強欲、色欲、プライド、怒りと大罪の詰め合わせ。当然それらは恐ろしい思念を生み、結実してモーツァルトを堕落させる。
だが皮肉にも、サリエリが自己実現を成したのは憎きモーツァルトの作曲を手伝った数時間だった。信じるものを手放した彼には懺悔する勇気も無く、安泰な地位や富と引き換えに精神は無限の極貧にあえぎ続ける。
対照的にモーツァルトの心は、凋落の果て愛する者に囲まれ、サリエリにさえも調和的となり、永遠の平安を得る…。

…とまぁ全部お話してもなお楽しんでいただけること間違いなしの大作です。人を呪わば穴二つ、信じる者は救われる、逆もまた然りとはこのことですね。