ベイビー

アマデウスのベイビーのレビュー・感想・評価

アマデウス(1984年製作の映画)
4.3
やっぱり好きです!
数年ぶりに観ましたが、やはり素晴らしい作品でした。

オーストリア皇帝ヨーゼフ2世のお抱え作曲家として皆から尊敬されるアントニオ・サニエル。彼は音楽を愛し、敬虔に音楽と向き合います。

そんなサニエルから見るモーツァルトの物語。

音楽を愛し続けたサニエルと音楽から愛され続けたモーツァルト。嫉妬しながら憧れ続けるという、なんとももどかしい目線でサニエルはモーツァルトの人生を追い続けるのです。

"至高なる凡人"
サニエルは自分をそう呼びます。

才能がある人間だからこそ、天才という存在が分かるというもの。そして才能ある人間だからこそ、本物の才能に触れた時、嫉妬にもならない圧倒的な敗北感で、自分はただの凡人だと気づかされるのです。

モーツァルトという音楽の神に愛された天才の前では、才能を持ったサニエルでさえ凡人と認めざるをえません。

そんなモーツァルトの半生とサニエルの嫉妬を描いた優れた作品。脚本や音楽もお見事でしたが、それらを上手くまとめたミロス・フォアマン監督の手腕がさらに素晴らしかったです。160分という上映時間にもかかわらず、ずっと飽きずに楽しめました。

そしてなんと言っても作品の重厚感。とても素晴らしかったです。美術セットなのか実際の建物でのロケなのかは分かりませんが、作品から溢れ出る優雅さと煌びやかな世界観が息を飲むほど贅沢です。

部屋の装飾や貴族の衣装。オペラの舞台や演奏会などでの作り込みの凄さ。それらが滲み出る画角の力が重厚で美しい… 目をやる全てが美し過ぎます。

それと併せてスクリーンから歴史の深みが漂ってくる感じが好きです。時代を越えた優雅さに、ただただ圧倒されてしまいます。

クライマックスに鎮魂歌を重ねるあたり、地味ながらも作品に重厚感が漂い良いですね。この作品の喜怒哀楽がまるでモーツァルトが作り上げた音楽のように、人生の可笑しさの拠り所を巧く捉えていると思いました。

あー、久しぶりに観て良かったです。
とても贅沢な時間を過ごせました。
ベイビー

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