湯林檎

アマデウスの湯林檎のレビュー・感想・評価

アマデウス(1984年製作の映画)
5.0
クラシック音楽に纏わる映画の中でも抜きん出てて名作だと思える作品であり演出、脚本、演技の全てが個人的に最高に素晴らしい映画。
とは言えモーツァルトやクラシック音楽に興味のない人でも18世紀のヨーロッパが結構リアルに再現されているのでこの時代の歴史が好きな人にもおすすめ。

個人的にはこんなにも退屈な時間がなく且つ登場人物の心理状況を明確に描けていて素晴らしい脚本だと思った。分かりやすいストーリーながらも約3時間の作品とは思えないくらいぐいぐいのめり込めた。

更にはピアノ演奏やオペラの上演シーンも充分に組み込まれていて観ていてとても楽しかった!

ここまでの嫉妬心を感じたことは今のところ無いけどサリエリの心情について私はかなり既視感を覚えた。
と言うのも、私は高校時代に吹奏楽部に所属していて自分と同じパートの1学年下の後輩(実際にいくつものコンテストで入賞をするほどの実カ者だった。そうは言っても今も昔も仲は良いのだけど笑)をライバル視していたことがあったので、特にサリエリが嫉妬に狂っていく様子はどこか昔の自分を見ているようで思わず見入ってしまった。その後輩は品が良くて性格も良いのでモーツァルトとは全くもって似てないのだけどね笑
自分は天才では無いが天才の凄さを1番理解できる才能を持っているサリエリの気持ちが何とも複雑。実際どんな職業でも1番近くにいる同業者が才能を発掘することが多いのも苦々しい💧

実際のサリエリは才能ある音楽家の卵のような若者や貧しい音楽家などを支援していたりモーツァルト亡き後に彼の子供に音楽を教えたなどという史実からしてかなりの人格者だったと思う。それ以前に当時の音楽界の中では宮廷楽長と言うトップの座に就いていてウィーン楽友協会の黄金の間の設計にも携わったので相当優秀な人なのは確か。なので凡人と言うことはとても出来ないw

この映画においてはモーツァルトは神に愛された変態&変人の天才、サリエリは至って普通の生真面目な優等生。そしてクラシック音楽というお堅そうな題材を取り扱っていながらも内容自体はヒューマンドラマとサスペンス両方の面を持つエンタメ性溢れるストーリー。そして結局はモーツァルトが先に亡くなり(享年35歳)サリエリは作曲家としては名を馳せらすことはできなかったけど多くの弟子(中には誰もが知っている有名作曲家もちらほらいる)を育てて72歳まで生きた。
ビジュアル面でこそ分からないが映画を構成する因子は基本的に対比で成り立っている様に見えるし多分この映画のメインテーマこそが"対比"であると私は思う。
そう思うと美輪明宏氏が提唱している"正負の法則"というのはある意味本当かもしれない。(とか言いつつピカソは91歳まで生きたので全員に当てはまるわけじゃないと思うけどw)

直接的な映画の感想ではないが、私はクラシック音楽が好きだがこの映画を観るまでは主にドビュッシーやラヴェルなどのフランスの近、現代音楽が好きで古典派のモーツァルトの音楽は特に好きではなかった。しかしこの作品を鑑賞後、改めてモーツァルトの音楽を聴き直してみようと思うようになり、家にあったモーツァルトのピアノ曲のCDを漁っては聴いてコンサートにも足を運んだ。更にはザルツブルクとウィーンに旅行に行く計画も立て、一昨年の11月に行くことができた。
※モーツァルトの生家(今は博物館)とウィーンにもちゃんと行った✌️
いつかは生でモーツァルトのオペラ(特に「フィガロの結婚」)を鑑賞したいと思えるようになった。映画の力ってすごい‼️

1本の映画としても最高に面白い上に私の音楽の趣味の幅を広げてくれた作品でもあるので今後においてもマイベストムービーであることに変わりないだろう。

因みにディレクターズカットの方を鑑賞。


あと「ディリリとパリの時間旅行」(マイベストムービー第3位)のレビューでこの映画を含んだ西洋音楽の歴史の考察について書いてあるのでそちらも良かったら読んでみてください🎶

また、ここでモーツァルトの曲の演奏リンクを貼ると膨大な量になってしまうので是非私のTwitterからモーツァルトを探してみてください♪
https://twilog.org/yuringo00001
湯林檎

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