まりぃくりすてぃ

アラサー女子の恋愛事情のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

アラサー女子の恋愛事情(2014年製作の映画)
4.8
自分探し映画の秀作!! 上質で巧くて深くてチャーミング。
邦題がバカみたいだから「観ようとする人を選ぶ」みたいになっちゃってるっぽいけど、これ幅広い世代の女性にも男性にも刺さると思う。要は “他人には時々嘘ついちゃうけど、けっして自分自身には嘘がつけない、プチ・アウトサイダー” の解決ドラマ。
「何が自分の幸せなのかを考えないと、居場所を失う」とか「独りが寂しいならもっと遊べばいいのに」とか「“バカなこと” の定義が(友達と)違うと、うまくいかない」とか「私は蛇」とか「私の動物は、私自身」とか、気負わぬ範囲内で重要セリフがわんさか。ふだん偉そうなレビューばっかする私は、こういう脚本たぶん一生書けないし、また、この脚本のどこを直すべきか考えつかない。つまりこれ私の斜め上にて完璧。
主人公メーガン(キーラ・ナイトレイ、厭味のない好演!)をやたら叱りつける親友アリソン(エリー・ケンパー、ほっぺたフルッフル)の憎たらしさのせいで、早々私は主人公に感情移入。それでなくとも「奔放なのに潔癖で、状況への理想が何となく高く、ふらふらしてて子供っぽくてもお人好しぎみで、意外に常識を弁えてる」キャラは、私自身にそう遠くない。
そして終盤いよいよますます己に正直になっていくメーガンをみて「自分を大事にはしてないほうだけど、自分を愛せてる。自分を真に愛せる人こそが、他人をも愛せるんだね」って思った!
後半をめちゃめちゃ面白くしてくれたアニカ(クロエ・グレース・モレッツ、抑えめの好演)とその父クレイグ(サム・ロックウェル、不思議な支配性の陽キャ表現)。そのほかみんなに惹かれた。アリソン以外ね。
終盤、特に空港での顛末に「えっ?」だった鑑賞者もいるみたいだけど、主人公は、責めてくる世間の代表としてのアリソンにほんと辟易してたんだから、人生の最重要局面に婚約者がそのアリソンの名を出してきた時点で、防衛行動大あり。私はそう納得。脚本に瑕疵は全然ないよ。

てわけで映画としても欠点は特にないけど、キスへの流れと最後の別れの流れをもうあと一段丁寧にしてほしかったかも。(脚本じゃなく演出面で。)丁寧といえば、全体がパンチよりも繊細さを効かした作りなので、中盤頃にはテンポ的な充足がすこぉし乏しかった。あと、主演さんがしょっちゅう男顔に見えた。
私から捧ぐベターな邦題は、『グズじゃないわ』や『遅咲き姫』。

つたやに返す前に、ワイン飲んで、もっかい観るよ。
ところで、どんな不味い安ワインでも必ず美味しくするには牛乳で割ればいいって最近気づいた。すきっ腹でもチーズなしで一気に飲めて嬉しくプハーだ。赤ワインでしかやったことないけど。色が劇的になる。