貝

ニンフォマニアック Vol.1の貝のレビュー・感想・評価

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)
4.0
vol.2とあわせて全8章。こっちにあわせて感想書きます。

良かった。トリアーだから結構構えて見てしまったけど。子供がベランダの段差によじ登るシーンとかデジャヴすぎる。
女が集まると半分以上男の話になる。私は人の恋愛話に興味がなくていつも苦痛。自分の話もなるべくしたくない。恋愛は下手だし。セリグマン(ステラン・スカルズガルド)、理屈でしかセックスを語れない童貞おじさんの本で学んだ小話を露骨に否定するジョー(シャルロット・ゲンズブール)を見て、彼の言動をキッパリ「女々しい」と吐き捨てるジョーを見て好きだなと思った。彼女は初対面の男相手にも譲歩しない。主導権はいつも彼女が握ってた。

もしかしたら自分がおかしいかもと思うこともあった。恋愛への興味が薄い自分に対する違和感を感じることの方が増えて、合わせようと嘘ばかりついた。
ジョーのマイノリティな自分を認めて自由であることを選択してきたその生き方に共感した。彼女のように「愛は性欲に嫉妬がくっついてきたもの」とまでは思わないけど、思ってもない彼氏ほしい、男に気に入られたいとかヘラヘラするのは私らしくない。私を満たすものは恋愛だけじゃないし、女はこうあるべきという固定観念に屈せず楽に生きればいいのだと思えた。

父親についてずっと考えてた。彼女の人生の中で唯一の綺麗な思い出。唯一の特別な異性。結局病気によってすべて打ち砕かれた完璧な父親像。死の瞬間に濡れてしまったモノクロの消したい過去。彼女の欲求を加速させる一要因だったのかも。
貝