改名した三島こねこ

ニンフォマニアック Vol.1の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)
3.5
<概説>

偶然路傍から救出した女性の身の上話という形式で、性にまつわる物語が断片的に描かれていく。彼女は性という本能的なものになにを求めるのか。奇才ラース・フォン・トリアーが偏執的なまでの情熱で完成させた問題作。

<感想>

「愛の名の下に100件の犯罪が起こるならセックスの名の下には1件よ」

この発言はモラルというものに無条件に則るならそれは詭弁だと言いたくなります。しかし『ドッグヴィル』でこうした無条件な倫理道徳の無意味を突きつけられた後だと、核心を突いているように思えてなりませんね。

実際不意の妊娠や不倫による愛憎は性にまつわる副次的要素ですから、性そのものが悪になることはないのです。

性なくして生はなく、性あってこその生。

性は本能でしかなく、そこに善悪の理論を適用するのはなんだか馬鹿らしくなっちゃいます。いや倫理学がナンセンスとまでは言うつもりはないのですけれども。

こういう無批判の善性を批判したがるのは監督らしく、極めて挑発的な作品。

特に日本人視聴者はこの性への倫理規範が変なところで厳しく、変なところでゆるいもの。青少年への実効力ある規範は割とガバガバなのに、思弁や机上における規制はしたがる。

この性への非ッッッ常にいい加減な傾向からすると、本作は受け入れがたい方も多そうです。もっと自己批判の精神を養いましょう、私自身含めて。

しかしVol.2もこのままの方針でいくのでしょうか。現状愛からの解放以上のものが指先に触れてないのですけれども。この時点で期待半分心配半分。