死、老い、豊かさと虚無、表現欲求、宗教、芸術、男と女、喧騒と静寂
夏のローマ、65歳になった主人公ジェップを通して様々な要素がない交ぜに描かれる
元作家であるジェップの日常はスノッブに過ぎて入り込めないけれど、これはおそらくフェリーニ、クストリッツァ的な寓話と考えたほうがよさそうで、この二人の監督に通じるスケール、ヨーロッパの歴史をバックボーンにした深みが馥郁たる香りとなって、気分よく酔わせてくれる
脚本、設定もさることながら、絵が力強く美しい
いくつかのカットを抜き出せばそのままアート性の高い写真集とハイブランドのルックブックができてしまう印象
構えて見れば難解な作品と言える
むしろ力を抜いて何度か見たい類いの作品
ローマには一週間滞在したことがあるけれど、この映画そのままの雰囲気で歴史的建造物がそのまま街の景観を成している感じにどうも馴染めず、自分にはあまり向いていない気がした
着いた初日にジプシーにやられそうになってビビったわけではないが、半日観光ツアーの他は一人でティボリ、あと日帰りでナポリに行ったくらいであまり出かけず、ソフィアコッポラよろしくホテルで時間を過ごした(今思えばもったいないことをした)
機会があれば再訪してみたい