強姦被害の衝撃を抱えている貧困層の娘(渥美マリ)が、自分なりの生き甲斐を模索していく。女性の幸福論と自己実現を綴っている、ヒューマン・ドラマ。
母の情夫の犯行により、孤独に苛まれるようになった19歳の娘が「若さと肉体を武器に世渡りする術」を身に着けていく。母の関知しないうちに「娘が母を乗り越えていくドラマ」も内包されている。
ホステスに出入りする男性客が、主人公によって翻弄される喜劇がメイン。客人に体を売っている間は八方美人になり、素の状態に戻ると「増村演出のイカれた芝居」に転調する。このギャップが珍妙なグルーヴ感を生んでいる。
増村保造監督の女性観が色濃く反映されており、「周りに敵をたくさん作るぐらい悪知恵が働かないと出世できない」というメッセージ性を汲み取ることが可能。今現在にも通じる普遍性を享受することができる。